連載
» 2020年08月14日 10時00分 公開

医療クラウド利用を支える責任共有型アクセス制御モデル海外医療技術トレンド(62)(3/4 ページ)

[笹原英司,MONOist]

米国NISTがクラウドシステムのアクセス制御ガイドラインを公開

 前回、アプリケーションコンテナ、マイクロサービスなどを利用した医療API連携を取り上げたが、クラウド環境のアクセス制御も、従来のIaaS/PaaS/SaaS型階層モデルから、次世代プラットフォームとAPI連携をベースにしたモデルへと進化している。

 2020年7月31日、米国立標準技術研究所(NIST)は、「SP 800-210:クラウドシステム向けの一般的アクセス制御ガイダンス」を公表した(関連情報)。同ガイダンスは、以下のような構成になっている。

  • セクション1:アクセス制御とクラウドシステムの目的とスコープ
  • セクション2:クラウド・アクセス制御の特徴の概要
  • セクション3:IaaS (Infrastructure as a Service)向けアクセス制御システム・ガイダンス
  • セクション4:PaaS (Platform as a Service)向けアクセス制御システム・ガイダンス
  • セクション5:SaaS (Software as a Service)向けアクセス制御システム・ガイダンス
  • セクション6:インター/イントラ・クラウド運用向けアクセス制御システム・ガイダンス
  • セクション7:結論

 図2は、クラウドシステムの一般的なアーキテクチャを示している。

図2 図2 クラウドシステムの一般的なアーキテクチャ(クリックで拡大) 出典:National Institute of Standards and Technology (NIST) 「SP 800-210: General Access Control Guidance for Cloud Systems」(2020年7月31日)

 クラウドシステム・アーキテクチャの構成要素は以下の通りである。

  • VM(仮想マシン)
    • アプリケーション
    • アプリケーションプログラミングインタフェース(API)
    • オペレーティングシステム(OS)
  • ハイパーバイザー
  • ストレージ
  • ネットワーク
  • ハードウェア

 そして、図3は、アクセス制御におけるクラウドサービスプロバイダーとクラウドコンシューマーの関係を、IaaS/PaaS/SaaSのモデルごとに示したものである。

図3 図3 クラウドサービスプロバイダーとクラウドコンシューマーにより制御されたアクセス(クリックで拡大) 出典:National Institute of Standards and Technology (NIST) 「SP 800-210: General Access Control Guidance for Cloud Systems」(2020年7月31日)

 前述のHIPAAクラウドガイダンスでは、CSPと顧客、適用対象主体(CE)と事業提携者(BA)の関係が大きなテーマになっているが、図3をみると、PaaSやSaaSで、データの階層部分がプロバイダーとコンシューマーの責任共有モデルとなっている点が注目される。例えば、医療機器企業がIaaS型からPaaS/SaaS型モデルに移行する時など、データに関わる責任共有がリスク要因となるので、注意が必要だ。

 次に、このガイダンスでは、クラウド・アクセス制御システムの設計における課題として、以下の5点を挙げている。

  1. 広いネットワークアクセス
  2. リソースプーリング
  3. 急速な柔軟性(Elasticity)
  4. 計測可能なサービス
  5. データ共有

 その上で、「NIST SP 800-53 Revision 4:連邦政府情報システムおよび連邦組織のためのセキュリティ管理策とプライバシー管理策」(関連情報)のアクセス制御に関連する要素を、IaaS、PaaS、SaaSごとにマッピングしている。

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