さらに、これらで実現するデジタルスレッドの拡張の意味で「大きな提携だ」(ムロジク氏)と強く訴えたのが、SAPとの提携である。
ムロジク氏は「SAPはビジネスソフトウェアのトップ企業であり、インダストリアルソフトウェアのリーダーの1社であるシーメンスと組むことで、より広い範囲で共通のデジタルスレッドを構築できるようになる。製品開発からビジネスレイヤーまでデジタル環境で連携させることが可能となる。SAPとシーメンスでデジタルワールドを広げていく」と語っている。
また、ビデオメッセージを寄せたSAP エグゼクティブ・ボード・メンバーであるトーマス・ザウアーエシッヒ(Thomas Saueressig)氏は「シーメンスとSAPが協力することで、エンドトゥーエンドの製品ライフサイクルマネジメントを実現し、デジタライゼーションをさらに進めることができる。エンジニアリングの機能とビジネスの機能を結び付けることで、製品設計からオペレーションまで一貫したデジタルスレッドを実現できる。既に、シーメンスの『Teamcenter』とSAPの『S/4HANA』の連携に向けた開発を開始している。プロダクトライフサイクルマネジメントとアセットマネジメントを連携させることで、さらに高度なオペレーションが行えるようになる」と語った。
具体的には、製品ライフサイクル、サプライチェーン、資産管理の各分野において、統合されたソフトウェアソリューションの構築を進める。SAPでは、製品データ管理の中核基盤としてシーメンスの「Teamcenter」を活用する。一方で、シーメンスはSAPの「SAP Intelligent Asset Managementソリューション」と「SAP Portfolio and Project Managementアプリケーション」を活用し、これらを組み合わせることで、製品やサービスのライフサイクル全体にわたり、新しい業務プロセスの実現を目指す。
ムロジク氏は「それぞれが補完関係にある完璧なアライアンスだ。真のデジタルスレッドを実現することにより、コストの削減や製品投入の早期化、顧客のフィードバックの活用など、さまざまな価値を実現できる」とアライアンスの意義について強調した。
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