日本マイクロソフトは2020年5月27日、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)対策とその先にある“ニューノーマル(新常態)”に向けた取り組みについてオンライン記者会見を開催。中堅中小企業やスタートアップ企業などに向けたテレワーク支援の現状と、“ニューノーマル”を目指すスタートアップ企業の事例などを紹介した。
日本マイクロソフトは2020年5月27日、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)対策とその先にある“ニューノーマル(新常態)”に向けた取り組みについてオンライン記者会見を開催。中堅中小企業やスタートアップ企業などに向けたテレワーク支援の現状と、“ニューノーマル”を目指すスタートアップ企業の事例などを紹介した。
COVID-19の感染拡大やそれに伴うロックダウンの影響によりほぼ全ての企業が、それ以前とは異なる事業運営を余儀なくされている。こうした中でもビジネスを成り立たせるために大きな貢献をしたのがデジタル技術である。こうした状況に対し、米国マイクロソフト CEOのSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏は「この2カ月で2年分のデジタル変革が起きた」とコメントしている。
実際にマイクロソフトでは、世界中でリモートワークが急拡大していることを背景とし、コラボレーションツールである「Microsoft Teams」の全世界における一日当たりのアクティブユーザー数が約7500万人(2019年末の3倍以上)まで拡大した。加えて、仮想デスクトップでWindowsのアプリケーションを利用できるWindows Virtual Desktopのユーザーも3月末時点で2020年初の3倍以上のユーザー数になったという。
同様の状況は日本国内でも進んでいる。日本マイクロソフトが中堅中小企業1246社に行ったヒアリング調査によるとリモートワークを実施中とした企業は50%を占めた。また、検討中とした企業は26%となっていた。
日本マイクロソフト 執行役員 コーポレートソリューション事業本部 事業本部長の三上智子氏は「4分の3以上がリモートワークを行う意向を持っていることが明らかとなった。一方で、24%はリモートワークが難しい業種や業態のところで、可能なところではほとんどの企業が採用を検討している状態だ」と日本の現状について語る。
一方で、リモートワークをすぐに行えない課題を抱える企業も多い。三上氏は「リモートワークの必要性は理解していても、現実的には実施できない中堅中小企業は多い。紙ベースのワークフローへの対応や、ネットワークインフラおよびツールの問題、電話対応、リモートワーク用デバイスの整備や調達など、条件面で難しい場合がある」と課題について語っている。
COVID-19についてはワクチンや治療法などが確立したわけではなく、完全に終息するには数年単位の時間が必要になることから、感染症対策を行いながらビジネスを成長させることを考えなければならない。これらを“新たな生活様式”や“ニューノーマル(新常態)”と呼んでいるが、三上氏はニューノーマルへの対応に対し「3つのフェーズで考えるべきだ」と述べている。まずは緊急対応として「リモートワークへの移行」を進め、沈静化した中でデジタル変革による「事業回復への対応」を推進する。そして、これらを経て、新たな働き方に合わせたビジネスモデルを実現する「ニューノーマル」へと進む流れである。
三上氏は「マイクロソフトは『Empower every person and every organization on the planet to achieve more(地球上の全ての個人と全ての組織がより多くのことを達成できるようにする)』をミッションとしており、COVID-19に対してもリモートワークへの移行から新しい業務オペレーション、ニューノーマルへの移行を支援していく」と述べている。
会見ではこれらの3つのフェーズに合わせたマイクロソフトの支援事例をいくつか紹介したが、本稿ではその中で、製造業務にも応用できそうな小売り向けクラウドロボティクスサービスへの取り組みについて紹介する。
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