特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2020年05月28日 10時00分 公開

物流施設デベロッパーにおける「モノ売り」から「コト売り」への進化サプライチェーンの新潮流「Logistics 4.0」と新たな事業機会(9)(2/3 ページ)

[小野塚征志(ローランド・ベルガー),MONOist]

物流施設デベロッパーの業態転換

 物流施設デベロッパーにとって、次なるターゲットは「施設以外のリソース」になるでしょう。入居企業に対して、物流施設だけではなく、ロボットをはじめとする汎用的な物流機械・システムもレンタルやリースで提供するのです。行政の許可さえ得られれば、物流センターで働く作業員の人材派遣サービスを提供することもできるはずです。入居企業が必要とするリソースを広く取りそろえることができれば、その分だけ収益機会を増やすことができます。

 もう1つの方向性として、物流センターの運用者に業態転換を果たすことが考えられます。賃料ではなく、作業料を得られるようになれば、収益の大幅な増加を見込めるでしょう。物流施設という「モノ」を開発・提供するだけではなく、入荷、検品、仕分、梱包、出荷といった「コト」までを請け負う事業者になろうというわけです。

 もちろん、デベロッパーは物流センターの運用に関する属人的ノウハウを有しません。従って、物流会社と同じようなオペレーションプロセスを組み上げても、競争力を発揮することは困難です。今までにはないオペレーションを構築してこその事業機会といえます。

 その1つの方法は、受け入れる荷物の大きさや形状と、1日当たりの最大入出荷量を限定してしまうことです。そうなれば、今ある物流機械・システムであっても省人化を最大限追求できます。完全自動化を成せれば、属人的ノウハウを必要とせずに済みます。人を必要としないがゆえのコスト競争力も発揮できるでしょう。

 デベロッパーとしての立地戦略も大転換を果たすことができます。現状、物流センターの立地は「物流センターで働く作業員を集めやすいこと」が要件となっています。入荷、検品、仕分、梱包、出荷といった作業の遂行には相応の人手を必要とするからです。特に日本では生産年齢人口の減少もあり、駅や住宅地からの距離の近さを考慮せざるを得ません。結果として、それなりの土地代を要する場所となります。

 作業員をほとんど必要としない物流センターであれば、港湾や空港からの距離の近さ、高速道路や主要幹線道路へのアクセスのしやすさといった「輸送の利便性」を最優先に用地を選定できます。「輸送の利便性は高いが人手を集めにくい場所」であれば、「土地代を抑えることでの高収益」を実現できるはずです。

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