蓄電池システムの主要部品であるリチウムイオン電池は、セルを核に、このセルが約1000個集まったバッテリーパックにより形成される。バッテリーパックを製品により形状が異なるバッテリーモジュールにはめ込むことで、EVやバッテリーシステムなどの最終製品に搭載する。
「設計および製造は同じプラットフォーム上で行える。それらより量産が可能となり、製造コストを抑えている」と浅倉氏は語っている。エナジー関連製品ではモーターと家庭用蓄電池「パワーウォール」(容量13.5kWh)、業務用蓄電池「パワーパック」(同100kWh以上)がある。パワーパックは複数台を並べて使用することで総容量を増やすことができる(パワーウォールも一軒で10台まで設置可能)。最新の製品では「Megapack(メガパック)」を2019年7月に発売した。
エナジープロダクトの目指すマーケットでは、ソリューションとして家庭用(パワーウォール)、産業用(パワーパック)、電力系統向け(電力会社、鉄道会社など)、そして離島などでのマイクログリッドの4分野での適応を目指している。
このうちパワーウォールは「外見および性能、コストが世界トップレベルであることをコンセプトにした家庭用蓄電池だ」と浅倉氏は自信を見せる。パワーウォールでは日中は太陽光発電システムから蓄電し、夜間は家庭用の電力需要に合わせてバッテリーから放電する。非常時には家全体へ電力を供給するバックアップのシステムとして利用できるほか、電力会社などからのピーク電力削減需要に対応するようなVPP(バーチャルパワープラント)のリソースとしても活用可能だ。最高出力は連続運転で5kW、ピークは7kW、200Vにも対応可能。動作温度は-20℃から50℃までで、パワーコンディショナーおよび水冷式冷却システムを内蔵している。
システム価格は99万円(本体とゲートウェイ)で「国内メーカーの他の製品と比べてもかなり価格競争力がある」(浅倉氏)とする。ユーザーは主に一般家庭だが、米国のハワイ州では、小学校に太陽光発電システムと連携した同製品を導入し、教室のエアコンに電力を供給しているケースなどもあるという。今後は「コンビニエンスストアなどへの導入なども計画している」と浅倉氏は語っている。
一方のパワーパックは、日本では近畿日本鉄道などに納入。2019年4月から東花園駅近くに設置し稼働を開始しているという。停電時の列車走行用電源の確保、平日朝夕のラッシュ時のピークカット、VPPによるデマンドレスポンスなどの用途に用いられているとしている。
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