2019年10月に発足を発表したAVCC。新たにルネサス エレクトロニクスや、Autoliv(オートリブ)から分社化したエレクトロニクス関連のVeoneer(ヴィオニア)も加わった。自動車メーカーや大手サプライヤー、半導体メーカーが、日米欧から集まった格好だ。どのように自動運転のコストを下げるのか。
安全かつ購入しやすい自動運転車の提供に向けて、2019年10月に発足を発表したコンソーシアム「AVCC(Autonomous Vehicle Computing Consortium)」。初期メンバーはArm、Robert Bosch(ボッシュ)、Continental Automotive(コンチネンタル)、デンソー、General Motors(GM)、NVIDIA、NXP Semiconductors、トヨタ自動車という顔ぶれだったが、新たにルネサス エレクトロニクスや、Autoliv(オートリブ)から分社化したエレクトロニクス関連のVeoneer(ヴィオニア)も加わった。自動車メーカーや大手サプライヤー、半導体メーカーが、日米欧から集まった格好だ。
AVCCでは、個人が所有するタイプの自動運転車とモビリティサービス用の無人運転車の両方を対象に、自動運転に使うコンピューティングシステムが業界標準としてどうあるべきか議論する。定義した推奨条件は2025年モデルにも採用する計画だ。Arm ADAS/自動運転プラットフォーム 戦略担当ディレクターで、AVCCのボードメンバーを務める新井相俊氏は「自動運転車のコストは、非競争領域の共通化で必ず下げられる」と語る。
AVCCでは、自動運転向けコンピューティングシステムの競争領域と非競争領域を「今まさに切り分けている最中」(新井氏)だが、ほぼ決まりつつあり、決まった非競争領域からワーキンググループが発足している。AVCCの中ではどのようなプロセッサを使うかというレベルでの話はしておらず、「自動運転のコンピューティングプラットフォームとして、安く、みんなで使うにはどれくらいの性能がシステムレベルで必要かという議論」(同氏)をしているという。その性能にどのように実際に到達させるかは、半導体メーカーやティア1サプライヤー、自動車メーカーが各自検討することになる。
非競争領域と競争領域について新井氏は「例えば、クルマの中で動くプロトコルや、データのフォーマットは非競争領域になるかもしれない。どういったフォーマットがいいかというところまで含めて定義していく。非競争領域は、アプローチややり方がバラバラで無駄があり、1社でお金をかけるのはおかしいところだ。そこに向けて、推奨となる仕様を提案していく。反対に、運転するためのアプリケーションソフトウェアは完全に競争領域だ。乗り心地や、AIによる自動運転の仕方は自動車メーカーごとに異なっているべきだとメンバーが認識している」と述べた。
非競争領域となるテーマは分野ごとにワーキンググループでアプローチを検討していく。AVCCは現在もメンバーを募集中だが、加盟するには全てのワーキンググループに参加しなければならないという簡単ではない条件が課される。情報収集だけを目的とした参加は認められておらず、技術のエキスパートを派遣してワーキンググループに貢献することが重視されている。今後メンバーシップレベルは見直すが、「参加者は一気には増えないだろう」(新井氏)という。AVCCではレベル4〜5の自動運転車を手がけるロボタクシー企業の参加も歓迎している。
AVCCの発足に当たっては、同じ目的の団体がないことを加盟企業に確認した。「重複があると参加する意味が薄れる。自動運転のコンピューティングプラットフォームを扱う団体は他にないと判断して立ち上げた。他にないからといって全てをこの団体でやるつもりはなく、AUTOSARや機能安全など、標準化団体とは必ず話す」(新井氏)。
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