図研エルミックは、「IIFES2019」において、CC-Link IE TSNのマスタ局に対応するSDK「Ze-PRO CC-Link IE TSN(Master)」を用いたデモを披露した。
図研エルミックは、「IIFES2019」(2019年11月27〜29日、東京ビッグサイト)において、CC-Link IE TSNのマスタ局に対応するSDK(ソフトウェア開発キット)「Ze-PRO CC-Link IE TSN(Master)」を用いたデモを披露した。
次世代の産業用ネットワーク規格として注目を集めている「TSN(Time Sensitive Networking)」の中でも、実用化を積極的に推進しているのがCC-Link協会(CLPA)が仕様策定する「CC-Link IE TSN」だ※)。
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従来は三菱電機の主導体制が強かったCC-Linkだが、CC-Link IE TSNについては半導体メーカーやソフトウェアベンダーなどのサードパーティーを積極的に呼び込もうとしている。図研エルミックはその1社で、既にスレーブとなるリモート局向けのSDK「Ze-PRO CC-Link IE TSN(Remote)」を2019年7月に発表している。
今回発表したZe-PRO CC-Link IE TSN(Master)はマスタ局のソフトウェア開発に対応する製品だ。リモート局向けのSDKは数社が発売しているが、マスタ局向けのSDKは図研エルミックが初となる。時刻同期精度が±1μs以下など高いリアルタイム性が求められるアプリケーション向けの「Class B」に準拠可能であり、Windowsベースの産業用PC環境上での運用を想定している。なお、Class Bを満たすリアルタイム性を確保するため、プロトコルスタックなどはWindowsと共存可能なリアルタイムOS「INtime」上で動作させることになる。
今回展示したデモでは、Ze-PRO CC-Link IE TSN(Master)で開発したソフトウェアを三菱電機の産業用PC「MELIPC5000」に組み込んでマスタ局とし、その直下にClass Bに準拠する三菱電機のサーボアンプ「MR-J5-G」でモーターを動作させている。MR-J5-Gには、汎用のイーサネットスイッチを介して、Class Bほどの厳しい仕様が求められない「Claas A」に準拠するシステムとして、STマイクロエレクトロニクスの「STMF32F4」で制御する光電センサー、ルネサス エレクトロニクスの「RX72M」で制御する信号灯がつながっている。「CC-Link IE TSNのClass AとClass Bが混在するマルチネットワークだ」(図研エルミックの説明員)。
デモでは、光電センサーを手などで遮ると即座にサーボモーターの回転数がゆっくりになる様子を示した。「何らかの不具合が起きても停止することなく対応できる生産ラインをイメージしている」(同説明員)とのことだった。
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