APTJとウインドリバーは、「ET&IoT Technology 2019(ET2019)」の会場内で会見を開き、車載ソフトウェアの標準規格であるAUTOSARと仮想化技術を活用した車載ソフトウェアプラットフォームの開発と販売に向けた業務提携について発表した。
APTJとウインドリバーは2019年11月20日、「ET&IoT Technology 2019(ET2019)」(同年11月20〜22日、パシフィコ横浜)の会場内で会見を開き、車載ソフトウェアの標準規格であるAUTOSARと仮想化技術を活用した車載ソフトウェアプラットフォームの開発と販売に向けた業務提携について発表した。APTJは、制御系システムに用いられるAUTOSAR Classic Platform(CP)に対応する「Julinar SPF」を、ウインドリバーはADAS(先進運転支援システム)や自動運転システムなど向けとなるAUTOSAR Adaptive Platform(AP)に適用可能なリアルタイムOS「VxWorks」、AUTOSAR CP、車載情報機器向けLinuxやAndroidなどを統合できる仮想化プラットフォーム「Wind River Helix Virtualization Platform」を提供する。
APTJは、AUTOSAR CPに準拠する国産のソフトウェアプラットフォームの開発を目指して2015年9月に設立された。豊田自動織機やジェイテクト、東海理化電機製作所、スズキの内製部門などの共同開発サプライヤー、菱電商事、東海ソフト、サニー技研、ヴィッツ、永和システムマネジメント、キヤノンITソリューションズ、富士ソフトから成るパートナーソフトウェア企業とともにJulinar SPFの開発を進めて、2018年10月から販売を開始している。同社の会長兼CTOを務める名古屋大学 教授 情報学研究科附属組込みシステム研究センター センター長の高田広章氏は「この1年間でさらにBSW(基盤ソフトウェア)モジュールのラインアップも拡充できた。Julinar SPFを使用したECUを搭載する車両が、2019年末ごろを皮切りに市場投入されるだろう。2020年になれば、かなりの台数で使われるのではないか」と手応えを語る。
その一方で、自動車業界でCASE(コネクテッド、自動運転、シェアード、電動化)が注目を集める中で、車載組み込みシステムにもさまざまな影響が出ている。高田氏が、その方向性として挙げたのが「機能ドメイン分割型」から「ゾーン/エリア分割型」への移行だ。「現在の車載組み込みシステムは、パワートレインやシャシー、ボディーといった機能のまとまりごとにECUとネットワークを構成している。今後は、CANよりもはるかに高速なデータ伝送が可能な車載イーサネットの導入が進んでECUが統合されていき、車両内の2〜5カ所のゾーンもしくはエリアに置いたゲートウェイで統括するような構成に変化していく」(同氏)という。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.