多くの企業が企画に参加しumatiというキーワードが会場のさまざまなところで見られたEMO2019であるが、工作機械メーカー各社はどのようにumati接続に対応したのだろうか。技術的な観点からそのいくつかを紹介したい。
最も多く見られたのは、既にPCを搭載している工作機械に対してumatiの実装を行うケースである。このような機種の場合、制御を行っているCNCと機械に搭載しているPCとの間で通信が確立されており、CNCの情報を既にPCが把握することができている。そのため「CNCの情報をumatiデータフォーマットに変換するソフトウェア」および「OPC UAサーバ」をPC上に実装することで比較的簡単にumati接続を実現することが可能となっている。
例えば、欧州の大手マシニングセンタメーカーであるGROB (図6)や、欧州の大手研削盤メーカーUnited Grinding グループ(図7)などは上記の方法でumati接続を実現していたという。開発力と事業規模を持つ工作機械メーカーの典型的なumatiへの対応といえるだろう。
一方で、CNCメーカーの対応はどうであっただろうか。今回のumati@EMO2019では、実は多くのCNCメーカーはumati接続の機能をCNC本体には盛り込まなかった。この理由は「企画の接続仕様の発表からEMO開催までの期間が短く、時間的に対応が難しかったのではないか」と予想されている。
今回は対応を見送ったCNCメーカーも、もちろん何もしていなかったわけではない。例えば、欧州の大手CNCメーカーであるシーメンスは、自社のCNCに取り付けることでumati接続を実現する外付け端末「SINUMERIK EDGE」を提供している。シーメンスのCNCを採用しているドイツのマシニングセンタメーカーのHeller(Gebr. Heller Maschinenfabrik)などはこの端末を活用することでumati接続を実現していた。
こういった形で外付けによりumati接続を実現するデバイスは、既に各社が提供を始めている。その中には特定のメーカーのCNCに限らず汎用的に接続し情報取得が可能なデバイスも登場してきている。例えば、筆者が所属するベッコフオートメーション(Beckhoff Automation)も多様な通信プロトコルに対応したumati接続ゲートウェイを提供する企業の1つだ。こうしたデバイスの活用は、umati接続を自社開発では実現が難しい中小規模の工作機械メーカーを中心に、今後広まっていくと予想されている。
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