さらに2019年5月には、リニューアルした新製品を発表。院内搬送用とデジタルサイネージ用の2種類にラインアップを拡充した。院内搬送用新製品では使い勝手を強化。従来は鉛バッテリーだったのに対しリチウムイオンバッテリーを採用した他、駆動モーターの高度化を実現した。さらに、後方にセンサーを増やしバック走行を可能とした。さらにオプション機能として、遠隔操作機能や遠隔コミュニケーション機能、顔振り向き機能などを追加したことが特徴となる。
「HOSPI」は、自律移動ロボットでは世界に先駆けてロボットの国際安全規格であるISO13482に対応するJIS規格(JIS B 8445、JIS B 8446-1)を取得。衝突や発火、転倒による押しつぶし、落下など、ロボットに関するさまざまな危険に対し、安全性を確保する機能を備えている。
これらの安全性を確保するために搭載しているのが、数多くのセンサー類である。従来モデルでは4つ、新製品では5つのLiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)を搭載し、周辺の障害物を確実に検知する。前方足元のLiDARで進行方向の前方180度、半径8mの水平方向の範囲を検知する。さらに前方の胸部分には上下方向の範囲を検知するLiDARを設置し、歩行器や車椅子、長椅子など、足元部分の検知だけでは見落とすような、前方で突起したような障害物の検知を行う。また、両肩の2つのLiDARで、前方、後方、側方の障害物を認識し、前方の段差や床面の有無などを把握する。
さらに新製品では、後方にもLiDARを設置し、人混みなど進行方向でそのまま進めないような場合は、後方に1度戻り、再度進路を検討するような動きも可能とした。内山氏は「新製品は病院以外の用途も検討しており、空港や商業施設なども想定している。その場合、人に囲まれるような場面も出てくるため、これらに対応するために後方にもLiDARを設置した」と述べている。
画像センサーとしては、胸部のセキュリティカメラ用のセンサーに加え、顔部に遠隔コミュニケーション用のカメラを搭載する。加えてユニークなのが、天井認識用の画像センサーを搭載しているという点である。
上部に天井認識用の画像センサーを搭載していることについて、PPE 新規事業センター ロボティクス事業推進部 新規開発課 課長の酒井龍雄氏は「ロボットは人手で作成した地図情報を基に自律走行するが、周囲を人が囲んだり、障害物が多くあったりする場合などは、自車位置の認識が困難になる場合がある。そうした場合に天井の照明の配置を画像で認識し自車位置を把握する」と述べている。自律走行用の2次元の地図については、簡単に作成できるツールなどを用意する。照明の配置などの情報についても、事前にロボットに搭載しておくという。
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