詳細な構造解析に対応する、MALDIデジタルイオントラップ型質量分析計医療機器ニュース

島津製作所は、設置面積がA3サイズと小型ながら、詳細な構造解析に対応するMALDIデジタルイオントラップ型質量分析計「MALDImini-1」を発売した。

» 2019年06月14日 15時00分 公開
[MONOist]

 島津製作所は2019年5月29日、設置面積がA3サイズと小型ながら、詳細な構造解析に対応するMALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)デジタルイオントラップ型質量分析計(MS)「MALDImini-1」を発売した。価格は3000万円(税別)で、国内外で10台の販売を目指す。

 MALDIは、マトリックス(イオン化補助剤)を混ぜた試料にレーザーを照射し、タンパク質のような高分子化合物までイオン化する技術だ。同社のシニアフェローである田中耕一氏が、ノーベル化学賞を受賞した際の理由となった技術として知られる。

 MALDImini-1は、このMALDI技術を搭載した卓上型の質量分析計(MALDI-MS)となる。従来の正弦波RFの代わりに矩形波RFを用いてイオントラップを駆動する、デジタルイオントラップ技術を採用。周波数の変調が容易になるため、高質量イオンの捕捉時も高電圧発生ユニットが不要となり、装置の小型化につながった。MSは通常、200ボルト電源を必要とするが、MALDImini-1は100ボルト電源で使用できる。

 また、多段階の質量分析手法MSnによる構造解析が可能で、抗体などのタンパク質の修飾や糖鎖の修飾などの確認、配列解析に利用できる。MS範囲の上限はm/z70000。専用ソフトウェア「MALDImini Console」により、MS1、MS/MS、MS3という測定パラメータを簡単に切り替えられ、試料をセットすればすぐに測定を開始できる。

 タンパク質の他に、ペプチド、脂質など、生体分子から合成分子まで幅広い分析に対応する。小型かつ詳細な構造解析機能の搭載により、スペースの限られたラボにも導入可能で、バイオ医薬品などの研究現場で活用できるとしている。

photo デジタルイオントラップ型質量分析計「MALDImini-1」(クリックで拡大) 出典:島津製作所

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