日立製作所は、水道管やガス管などの地中埋設インフラを効率的に保守管理する「社会インフラ保守プラットフォーム」を構築した。第1弾として、水道管の漏水エリアを高精度かつ瞬時に特定するサービスを提供する計画。2019年10月から先行的なサービスを立ち上げ、2020年度から本格展開を始める。
日立製作所は2019年4月25日、東京都内で会見を開き、水道管やガス管などの地中埋設インフラを効率的に保守管理する「社会インフラ保守プラットフォーム」を構築したと発表した。同プラットフォームに基づく事業展開の第1弾として、水道管の漏水エリアを高精度かつ瞬時に特定するサービスを提供する計画。2019年9月末までに漏水を検知する高精度センサーの量産体制を整えてから、2019年10月から実証実験を兼ねた先行的なサービスを立ち上げ、2020年度から本格展開を始める。「水道管の漏水検知を含めた地中埋設インフラの保守管理サービスで、2025年度までに1000億円規模の事業に育てたい」(日立製作所 未来投資本部 インフラ保守プロジェクト リーダの竹島昌弘氏)という。
同社は中長期視点で戦略的に強化すべき分野を検討するための社長直轄部署として未来投資本部を2017年4月に設置した。同本部は2019年4月時点で「ロボット・AI」「インフラ保守」「ハピネス」「デジタルグリッド」の4領域にフォーカスしており、会見で発表したプラットフォームは、インフラ保守の成果となる。
高度経済成長期に整備された、道路や橋梁、水道管、ガス管などの社会インフラは、設置から40年以上が経過し、老朽化が進んでいることが社会課題になっている。その一方で、老朽化したインフラを保守管理する熟練作業員の高齢化も進んでいる。竹島氏は「これらの課題を解決するために、IoT(モノのインターネット)や、IoTから得られたデータの分析といったデジタル活用がインフラの保守管理に求められている」と説明する。
日立製作所が開発を進める社会インフラ保守プラットフォームは、地中埋設物にセンサーを設置し、そのデータを収集、分析することで、保守作業の高度化や効率化を図ることをコンセプトとしている。また、地震などの災害時に、迅速な状況把握で被害を最小化することも目指している。そして、同社のIoTプラットフォーム「Lumada」のソリューションコアにも加わることになる。
社会インフラ保守プラットフォームによる第1弾サービスとなる「漏水検知サービス」が対象とするのが、地方自治体の水道局が管理する水道管路だ。老朽化した水道管の破裂で地上への漏水が起こるだけでなく、地下への漏水は発生が分かりにくい上に、道路陥没や隣接して埋設されているガス管の破損などの影響もある。しかし、これらの漏水を早期に見つけ出せる熟練作業員は高齢化しており、水道管の老朽化が進む現状に対して対応が追い付いていない。
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