デジタルとリアルのタッグで次世代ラインビルダーへ、ISIDとFAプロダクツが提携FAニュース(1/2 ページ)

電通国際情報サービス(以下、ISID)とFAプロダクツは2019年3月26日、スマートファクトリー分野で資本業務提携を行ったことを発表した。FAプロダクツが実施する第三者割当増資を引き受け、ISIDがFAプロダクツ株式の20%を取得する形となる。これによりFAプロダクツはISIDの持分法適用会社となる。

» 2019年03月27日 11時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 電通国際情報サービス(以下、ISID)とFAプロダクツは2019年3月26日、スマートファクトリー分野で資本業務提携を行ったことを発表した。FAプロダクツが実施する第三者割当増資を引き受け、ISIDがFAプロダクツ株式の20%を取得する形となる。これによりFAプロダクツはISIDの持分法適用会社となる。

 両社の提携は主にスマートファクトリーの実現を目指したものとなる。製造業では、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)技術の進展により、スマートファクトリー化への取り組みに高い関心が集まっているが、ISID 代表取締役社長の名和亮一氏は「スマートファクトリーやインダストリー4.0など新たなモノづくりを目指す動きの中で、重要になるがまだ誰も成し遂げていなかったことを今回の提携により実現する」と思いを述べる。

 具体的には、ISIDが以前から取り組んできた、設計やシミュレーションなどバーチャルにおけるモノづくり環境と、FAプロダクツが主に取り組んできた製造現場のリアルな環境の情報を一元的に融合する仕組みの実現を目指す。名和氏は「従来はバーチャルの世界とリアルの世界には大きな断絶があった。抱える背景やスキル、ツール、関連するメーカーなども大きく異なる。これらを一元的に実現するオープンな仕組みを世の中に提供する」と語っている。

“真のスマートファクトリー”実現へ

 スマートファクトリーの理想像は、自律化された工場を実現するということである。製品設計、工程設計、生産計画などのITシステム側で行う作業と、製造工場における加工機や組み立て機、検査機など機器との情報を一元的に管理するということがまず必要だ。一元的な仕組みによりリアルのデータをバーチャルの世界に吸い上げそこでリアルの状態を再現してシミュレーションや分析などを行い、より良い知見や成果をリアルの世界にフィードバックする「デジタルツイン」が必要になる※)

※)関連記事:いまさら聞けない「デジタルツイン」

photo スマートファクトリーのイメージ(クリックで拡大)出典:ISIDとFAプロダクツ

 さらに、これらのシステム的な問題だけでは意味のあるスマートファクトリーの実現は難しい。FAプロダクツ 代表取締役社長 貴田義和氏の「さまざまな業種や工程における実践事例、最新の機器やツールの知識や導入事例、全体最適を実現する提案などが揃わなければ、理想的なスマートファクトリーを実現することはできない。ITベンダーや装置ベンダーなどが単独でスマートファクトリー化の提案を進めているが、これらの要素をそろえることができないため不十分な部分最適な形にとどまっている。今回の提携により、これらの要素を全てカバーし、生産のブレークスルーを実現する『次世代ラインビルダー』を目指す」と提携の価値について述べている。

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