3DシステムズとGEアディティブ、どちらも業界大手であるわけだが、金属3Dプリンタを中心に置きつつも、機器販売より、製造プロセス全般の中でのサービスが訴求の中心に置かれていたのは共通していた印象だ。航空宇宙やヘルスケア、自動車といった産業分野での選択肢として拡がってきているからこその変化と見える。すごいことができそうな夢のマシンではなく、条件さえ整えば製造プロセスに組み込める機材であるという認識を、同時にもっと広める必要もあるとも当然考えるはずで、両社ともに「単に3Dプリンタを設置すればいいってもんじゃないよ」というメッセージになっているのだろう。
今回3Dシステムズに至ってはハードウェアメーカーとしての顔を持つにもかかわらず、ブースには1台も展示機、デモ機を持ち込まないという展示をしていた。
500mm角サイズまで対応する機材で造形された人工衛星のアンテナ部品など、微細なものから大きなものまでできることをいろいろ提示しつつ、「ひとまずは相談を」という見せ方のブースを眺めていて、やがてはアディティブマニュファクチャリングの仕組みを売ることが稼ぎ頭になって、ハードウェアの製造は止めてしまうような時代が来る可能性もあるのだろうか?なんてことを、ふと思ったりした。その時頭に浮かんだのは、かつてIBMがコンピュータのハードウェアメーカーからソリューションの会社へと変身した様子だったが、そういえば、GEも長きにわたって変化し続けている企業だった。
展示する各社の主要顧客によりに、フォーカスしている範囲は異なるが、出展社側の展示が「どうだ、すごいでしょ!」という感じのものが減ったのと同時に、情報収集に訪れている来場者側にとっても3Dプリンタが特別なものではなくなってきている空気感だった。久しぶりにのぞいたDMSは、これまでと少し違って見えた印象だった。
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