ユニバーサルロボットが、新たに開設した日本オフィス(東京都港区)で記者会見を開催。来日したユニバーサルロボット 社長のユルゲン・フォン・ホーレン氏が同社の事業戦略について説明し、併せて報道陣向けに新オフィスのトレーニング室とアプリケーション室を公開した。
ユニバーサルロボット(Universal Robots)は2019年2月15日、新たに開設した日本オフィス(東京都港区)で会見を開き、来日したユニバーサルロボット 社長のユルゲン・フォン・ホーレン(Jurgen von Hollen)氏が同社の事業戦略について説明した。併せて、報道陣向けに新オフィスのトレーニング室とアプリケーション室を公開した。
デンマークに本社を置くユニバーサルロボットは、人との協働が可能な産業用ロボットである協働ロボットの大手として知られており、同市場における金額シェアは50〜60%に達する。ホーレン氏は「協働ロボットは大企業だけでなく、中小企業にとっても役立つものだ。従来の産業用ロボットは複雑な作業をこなすために、人と隔離して使う装置だったが、協働ロボットはシンプルなツールであり、金づちやドライバーなどと同じだ」と語る。
同氏は、ユニバーサルロボットの協働ロボットが短時間で設置でき、プログラムがしやすく、柔軟性を有し、安全性が高いことを挙げた。その上でこれらの特徴をまとめて「かんたん(Easy)であることにより、人に力をもたらすツールになる。繰り返し作業が得意なことを協働ロボットに任せ、人が創造性を発揮できるようになる」(同氏)とした。
これまで飛躍的な成長を遂げてきたユニバーサルロボットだが、2019年は「売り上げをさらに次の段階(Next Level)に押し上げたい」(ホーレン氏)考えだ。
同社の2018年の売上高は前年比38%増の2億3400万米ドル(約258億円)だった。従業員数も同約1.5倍の620人まで増えている。同氏は「一般的な企業であれば38%の成長はかなりのものだが、われわれにとっては残念な結果だった。1〜9月までは堅調だったが、10〜12月期で減速した。世界の政情が不安定なことなどもあり、その影響を受けたことは確かだ」と説明する。特に、地域別でみると、米国が前年比51%増で好調、欧州が同37%で堅調だったのに対し、アジア太平洋地域が同25%と不調だった。
ただし、こういった短期的な市況の影響があっても、ユニバーサルロボットは高い成長を続けられるという。同社の成長は協働ロボット市場と同期しており、同市場は今後も着実に伸びるという調査結果があるからだ。以前の予測では、2017年からの5年間で年率43%で成長し、2021年には21億米ドル(約2320億円)になるというものだった。これに対し直近の予測では、2019年からの7年間で年率47%で成長し、2025年には89億7900万米ドル(約9920億円)になるというものだった。「長期的に見れば協働ロボット市場はより高い成長が見込まれている。現在は、まだ多くの人が協働ロボットのことを知らないが、競合メーカーが参入することで、市場規模は着実に拡大するだろう。われわれは拡大する市場で、50%以上のシェアを維持していくことにより成長を続ける」(ホーレン氏)。
例えば、2016年時点でユニバーサルロボットの競合となる協働ロボットメーカーは6社程度だったが、現在は約50社まで増えている。ホーレン氏は「しかしながら各社とも1〜2製品しか市場に投入できていない。その上、われわれの製品に近いコンセプトのものが多い。そういった場合、ユニバーサルロボットの完成されたソリューションに優位性があり、確実にシェアを維持できるだろう」と自信を示す。
そして同氏は「現在のようなリスクがあり不確実な状況こそが、ユニバーサルロボットにとって大きなチャンスだ」と強調する。自動車業界をはじめ数年先を見通せない状況にあるが、設備投資は続けなければならない。そういった状況下での投資は「柔軟性の確保」に重点が置かれる。そして、この柔軟性の確保を、短期間かつかんたんに実現できるのが協働ロボットによる自動化である、というのがホーレン氏の見方だ。
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