2020年10月13日にサポートが終了する「Windows Embedded Standard 7」から最新の「Windows 10」世代への移行について解説する本連載。最終回の第6回では、Windows 10の最新アップデートである「Version 1809」と組み込み機器の関わりについて説明する。
本連載ではこれまで「組み込み機器でWindows 7からWindows 10 IoTへの移行はどのように行うべきか」と題し5回にわたって解説してきました。最終回である第6回は、Windows 10の最新アップデートである「Version 1809」と、組み込み機器との関わりについて説明します。
2018年11月13日、Windows 10の新しい機能更新プログラムであるVersion 1809(コードネーム:RS5)が提供開始されました。Version 1809では、SAC(Semi Annual Channel)版以外にも、長期サポートチャネルであるLTSC(Long Term Servicing Channel)版が、「Windows 10 IoT Enterprise 2019 LTSC」という名称で新たにリリースされています。Windows 10 IoT Enterprise 2019 LTSCは、リリースから10年間、機能の更新は無く、セキュリティの更新などを含む品質更新プログラムのみが提供されるモデルです。
Windows 10のサービシングについては連載第1回の記事で解説していますが、サービシングの呼称が変更され、それぞれCBB(Current Branch For Business)はSAC、LTSB(Long Term Servicing Branch)がLTSCとなっています。加えて、マイクロソフト(Microsoft)は2018年9月に、Windows 10 Enterprise(これにはIoT Enterpriseも含まれます)およびEducationのサポート期間について、以下の変更をアナウンスしています。
この変更に伴い、SACでは従来の年2回ペースのバージョンアップを受け取ることができるとともに、2018年9月リリースの最長30カ月サポートされる機能更新プログラムを選択することで、計画からテスト、展開にかけて、より長い時間を確保することができるようになりました。
LTSCは引き続き、各LTSCのリリースから10年間のサポートが行われますので、最新のWindows 10 IoT Enterprise 2019 LTSCの場合は2029年1月7日までセキュリティの更新を受け取ることができます。これらを反映させたWindows 10の各バージョンのサポート期間は図1の通りとなります。
Windows 10の機能更新プログラムは無償で提供されていますので、Windows 10 IoT EnterpriseのSAC版であればVersion 1809へのアップデートを無償で実施することができます。一方で、Windows 10 IoT EnterpriseのLTSC版は機能更新プログラムではなく新しい製品として提供されますので、以前のSAC(CBB)版やLTSB版からWindows 10 IoT Enterprise 2019 LTSCへの無償アップグレードを行うことはできません。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.