これらのインダストリー4.0を実現するソフトウェアの構造についてはどう考えればよいのだろうか。カガーマン氏は「ソフトウェア構造としてはシンプルで3層で考えればよい」と説明する。
3つの層とは、1つ目は分散されたデータの蓄積層で、2つ目は現在も使用している各種アプリケーションの層、そして3つ目がこれらをシームレスに結ぶテクノロジープラットフォームである。
「データを全て集約するという話もあるが、現実的には難しい。分散して存在するデータを深いところまで活用できるようにすることが重要だ。その意味でエッジコンピューティングが価値を持つ」とカガーマン氏は考えを述べる。
さらに、今後のビジネスについては「新旧2つのテクノロジーとビジネスコンセプトが共生する状況になる」とカガーマン氏は見通しを示す。スマートファクトリー化など既存のビジネスの最適化と、新たなビジネスモデル構築などに取り組むビジネスの最適化である。
これらの内、「差別化」を実現する大きなポイントが「デジタルツイン」だとする。「デジタルツインは新たなビジネス構築の全ての始まりである。CADだけでなく物理的なデバイスの情報も全て組み合わせて、デジタル環境で扱えるようにする。シミュレーションが価値を生むポイントである。製造に関するプロセス全てを仮想レベルに持っていくことで、イノベーションのサイクルをより高速に回せるようになる。その結果最終的に差別化できる製品やサービスを生み出すことが可能となる」とカガーマン氏は語る。
「つながり」の観点で考えた場合、製品同士がつながる「コネクテッドプロダクト」の世界、デジタルツインとしての工場を実現する「コネクテッドプロダクション」の世界、ネットワーク化されたパートナーによるコネクテッドビジネスの世界、そしてこれらのコネクテッドビジネスネットワークによるデジタルエコノミーの世界へと進む。「これらのコネクテッドビジネスネットワークが構築できれば、デジタル世界での新たな業界プラットフォームのようなものが登場することになる」とカガーマン氏は語る。
また、これらを実現するのに重要な要因として、「サイバーセキュリティ」と「人と機械の協調」「標準化を含む国際的な協調」などをカガーマン氏は挙げ、日本とドイツの連携強化について訴えていた。
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