和田氏 ここまで高出力を考えているとは思わなかったが、新規格実現までのロードマップはどう考えているのか。
吉田氏 CHAdeMO協議会では、出力350kW〜400kWまでを想定した仕様書2.0を2018年6月に発行したばかりである。今回はさらなる超高出力、つまり400kW超となることから、新規仕様書の発行を2020年ごろをめどに考えている。実際の市場投入はそこから約2年後の2022年前後だろうか。今回の新規格は日中共同であることから、車両と急速充電器に関して日中それぞれの互換性を確認しながら進めていきたい。
名称については、新CHAdeMO規格、新GB/T規格、CCC(CHAdeMO・CHINA・CHARGE)規格などいろいろ考えられるが、今後日中共同で考えていきたい。
和田氏 今回の新規格はどのようなマーケットを想定しているのか。またその実施にあたってはどのように進めるのか。
吉田氏 まず大容量バッテリーのEV、EVバスやEVトラックの普及が進む中国からではないだろうか。おそらく中国では新規格がGB/Tとして法制化される。そうなれば、中国ではこの規格は必須となるであろう。また、現実的対応として、これまでのGB/Tと新規格のデュアルアーム(充電器の両側から異なる充電コードが出るタイプ)として市場投入されるのではないだろうか。またEVバスの駐車場では、この新規格が単独で多数設置されるのであろう。
もちろん、日本も現在のCHAdeMO規格の充電器だけでなく、必要であれば新規格専用の急速充電器を追加で設置していく。ただし、出力はどこまで抑えるかは考えどころである。日本でもEVバス向けは単独で新規格が設置されることもあるだろう。さらに、これから乗用車タイプのEVやEVバスなどの普及拡大が予定されるインドやタイ、ベトナムなどのアジア・ASEAN諸国にも普及が考えられるのではないだろうか。
欧州や北米は分からないが、Tesla(テスラ)などからEVトラックの構想も出てきていることから、超高出力の急速充電新規格を採用する可能性はあるように思われる。
和田氏 現在のCHAdeMO仕様でも車両と急速充電器の互換性の確認に苦労したが、今回の日中共同規格について、日本と中国での互換性はどのように進めるのか。
吉田氏 実はここ1〜2年、中国GB/Tに関して車両と急速充電器の互換性をどう担保するのか相談があり、共同研究として確認してきた。今後はこの枠組を用いて、実車も用いながら日中間の互換性を確認していきたい。
和田氏 全く新しい規格となるが、上記以外の懸念点はどうか。
吉田氏 やはり超高出力の急速充電器であることから、1基あたりのコストがかなり高価になることが予想される。構造的には、1つのアセンブリにするのか、充電装置と電源装置を分離するのかなどいろいろな方法がある。このため、価格低減について、コネクターメーカー、急速充電器メーカーなどと協力して、安全性や信頼性を担保しながら、どれくらいのレベルになるのか、今後検討していきたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.