ブリヂストンは、ZMPと共同で、車両を用いたタイヤ性能試験の1つであるタイヤ騒音試験を無人自動運転化するため開発プロジェクトを進めている。現在はSAEが定める自動運転レベル3の段階まで進んでおり、2019年に同レベル4に相当する無人自動運転によるタイヤ騒音試験を実用化したい考えだ。
ブリヂストンは2018年7月18日、ZMPと共同で、車両を用いたタイヤ性能試験の1つであるタイヤ騒音試験を無人自動運転化するため開発プロジェクトを進めていることを明らかにした。両社は同年7月19日、ZMPの年次イベント「第10回ZMPフォーラム」内で会見を開き、同プロジェクトについて説明。現在はSAE(米国自動車技術会)が定める自動運転レベル3の段階まで進んでおり、2019年に同レベル4に相当する無人自動運転によるタイヤ騒音試験を実用化したい考えだ。
ブリヂストン 実車試験部 部長の北原一弥氏は「当社が開発するタイヤのさまざまな性能を、さまざまな車両、さまざまな路面で実証しなければならない。当社はそのためのテストコースとなるプルービンググラウンドを世界8カ国/10カ所に展開している。国内のメイン拠点である栃木のプルービンググラウンドは、試験車両が200台以上あり、テスト本数は1カ月当たり約1万本に上る」と語る。
今回、ブリヂストンが無人自動運転化を進めようとしているのがタイヤ騒音試験だ。同試験では、タイヤと路面から発生する音をマイクで測定するもので、時速70〜90kmのエンジンを切った惰行状態にする必要がある。また、時速80kmの騒音を算出するために、時速70〜90kmの間のさまざまな走行速度で測定を行う必要がある。さらに、車両の左側と右側に設置されたマイクで測定した音が均等になるように、できるだけマイク間の中心を走らなければならない。「高い精度が要求される試験であり、これを実施できるドライバーを育成するのには時間がかかる。その一方で、タイヤ騒音試験が必要な国や地域が増加しており、試験量も年々増える見込みだ。このままでは対応が追い付かなくなるおそれがある」(北原氏)という。
そこで、このタイヤ騒音試験を、ドライバーを必要としないレベル4の自動運転車で実施しようと考え、自動運転技術を手掛けるZMPとの共同開発を決めた。レベル4の自動運転車であれば、複数台の試験車両を1人のオペレーターで管理することが可能であり、試験効率の向上につながる。また、人手を使わない機械による自動試験になるので、試験の繰り返し精度も高められる。これらの他、試験に関するナレッジも蓄積できるとする。
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