「フィジカルとデジタルの融合」に「人」が加わり、IoTとARは真価を発揮するLiveWorx 2018(2/3 ページ)

» 2018年06月20日 08時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

「1社のソリューションだけでIoTやAI、ARの活用は実現できない」

 次に「デジタル」では、IoT活用を進めていく上でのパートナーとして2018年1月に協業を発表したマイクロソフトから、IoT&MRセールス担当バイスプレジデントのロドニー・クラーク(Rodney Clark)氏が登壇した。

 クラーク氏は「マイクロソフトとPTCは、IoTとARを重視している点で方向性が一致している。そして、マイクロソフトはクラウドやセキュリティ、デバイス、PTCはIoT、CAD、ARと、それぞれがベストインクラスのソリューションを持ち、互いにサポートし合える関係にある」と説明する。

マイクロソフトのロドニー・クラーク氏(左)とへプルマン氏(右) マイクロソフトのロドニー・クラーク氏(左)とへプルマン氏(右)。両社の協業事例となる溶接機のフィールドサービスを紹介した

 両社の協業事例として、コルファクッス(Colfax)の産業用溶接機のフィールドサービスを紹介した。マイクロソフトのクラウドERP「Dynamics 365」と、PTCのIoTプラットフォーム「ThingWorx」を組み合わせることで、対応すべき顧客の製品に関する情報をサービスエンジニアに通知する機能に加えて、サービス対応時のAR活用や、IoT活用による警告機能なども簡単に実装できることを示した。またへプルマン氏とクラーク氏は、航空宇宙大手であるBAEシステムズのAR活用事例で25社のパートナーソリューションを組み合わせる必要があったことを挙げ「IoTやAI(人工知能)、ARを活用できるようにする上で、1社のソリューションだけでは実現できない」と強調した。

マイクロソフトの「Dynamics 365」とPTCの「ThingWorx」を組み合わせてアプリケーションを開発する様子 マイクロソフトの「Dynamics 365」とPTCの「ThingWorx」を組み合わせたアプリケーションの開発画面(クリックで拡大) 出典:PTC

熟練者の作業プロセスをARヘッドセットで記録、トレーニングに活用

 「人」については、近年最も力を入れているAR活用の事例を多数紹介した。へプルマン氏は「人が集める情報の80%は視覚によるもの。その視覚の触媒、モデムとなり得るのがARだ」と語る。

 そして、血球分析装置のメンテナンスサポートにおけるIoT活用で成果を得たシスメックス米国法人が次のステップとして取り組んでいるARを活用したトレーニングをデモで紹介した。この取り組みでは、AR表示のための対象物認識について、これまで広く利用されてきた「ThingMark」と呼ぶバーコードではなく、3D CADの形状データ認識機能を利用している。

シスメックス米国法人のAR活用トレーニングのデモ シスメックス米国法人のAR活用トレーニングのデモ。Waypoint Labsの技術デモもシスメックスの機器を用いて披露した(クリックで拡大)

 また、最近になって買収したMIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボのスピンアウトベンチャー・Waypoint Labsの技術によって、マイクロソフトのARヘッドセット「HoloLens」を装着した熟練者の作業プロセスを記録し、その記録を基にしたARによるトレーニングが可能になることも示した。MITメディアラボ関連では、ARとThingWorxを用いて、ホッパーフィーダーと計量機の連携動作をARでプログラミングしたり、PC画面上に用意したUIをARで入れ替えたりなど、より破壊的なAR技術の開発に取り組んでいることも紹介した。

破壊的なAR技術の開発事例 MITメディアラボが取り組んでいる破壊的なAR技術の開発事例。ARとThingWorxを用いて、ホッパーフィーダーと計量機の連携動作をARでプログラミングしてみせた(クリックで拡大)

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