バッテリーで5年駆動、振動などのデータを収集するワイヤレス監視システム組み込み開発ニュース

オムロン ソーシアルソリューションズは、橋や建物などの構造物の損傷や劣化の状態把握に必要な振動・ひずみなどのデータを遠隔から長期的に収集できる「ワイヤレスモニタリングシステム」を2018年4月から販売する。

» 2018年03月29日 14時00分 公開
[MONOist]

 オムロン ソーシアルソリューションズは2018年3月15日、振動やひずみなどのデータを、遠隔から長期的に収集できる「ワイヤレスモニタリングシステム」を同年4月から販売すると発表した。バッテリー駆動方式のセンサーを橋や建物といった構造物のさまざまな場所に設置してデータを取得し、損傷や劣化の状態把握に役立てる。

photo 「ワイヤレスモニタリングシステム」の構成(クリックで拡大) 出典:オムロン

 同システムは、ワイヤレス通信機能によってセンサーの通信ケーブルや電源ケーブルを不要としたことで、さまざまな場所に各種センサーを設置できる。設置したセンサーが長期間駆動するように独自の電源制御技術を開発し、センサーに接続したバッテリーで5年間の稼働を可能にした。

 同システムを導入することで、構造物の振動やひずみ、コンクリートなどの劣化に影響する温湿度などのデータを収集できる。しきい値を超えたときだけデータを計測することも可能だ。2017年3月に発売した3軸加速度計を構造物の各所に設置することで、地震発生時に構造物へ直接かかった振動を常時計測できるようになる。

 システムは、センサーノードとシンクノード、ピエゾ式ひずみセンサーで構成される。センサーノード「WMS100」はケーブルレスの設計で、IP65相当の防塵(じん)・防水性能。独自開発の時刻同期処理を搭載することで、複数台の機器をワイヤレスで接続しても高精度に時刻同期できるようにした。

 橋梁などの構造物は、自動車や電車の通過で振動が発生するが、こうした交通荷重振動と地震による振動との区別はこれまで困難だった。WMS100は、日常的に発生する交通荷重振動を学習して地震振動と区別することで、地震発生をより正確に検知する自動しきい値設定も搭載している。

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