今回の新サービスでは、譲渡企業と譲り受け企業とのマッチングだけでなく、アドバイザーとの連携も売りの1つとなっている。そのアドバイザーである静岡県 富士市 産業支援センターf-biz(エフビズ)センター長の小出宗昭氏は、中小企業の事業承継の現状について「大企業向けにはM&Aアドバイザリー企業などの支援も充実しているが、中小企業には支援が届いていない」と、その切実な状況を訴える。
中小企業向けに新規事業や販売促進など経営全般の相談やサポートを行う産業支援センターは、現在全国19の自治体で設置されている。その先駆けとなったのが、小出氏がセンター長を務めるエフビズだ。創造性の高い個別支援を重視する産業支援施設として静岡県富士市が2008年8月に開設。年間の相談件数は4000件を超えるなど、自治体が設置する相談窓口としても他に類を見ない件数実績を挙げている。
「エフビズには毎月コンスタントに事業承継M&Aがらみの相談が寄せられるが、中小企業の事業承継で課題となるのが、M&Aで必要となる着手金(手数料)。また地方の狭いネットワークの中で最適な譲り受け企業を探すのは非常に困難。譲渡企業側が完全無料で利用でき、自社の市場価値を理解できるビズリーチ・サクシードと連携し、価値ある事業を未来につなげていきたい」(小出氏)と新サービスへ期待を寄せる。
これまで事業承継の支援に力を入れてきた三井住友銀行も、新サービスのアドバイザーとして名を連ねる。同銀行 理事 プライベートアドバイザリー本部長の佐藤耕司氏は「地方において社長の高齢化が進んでいる。廃業予定企業での廃業理由の2位に後継者難がある他、30年前は同族への承継が90%だったものが直近では35%にまで減っており、第三者への承継が主流になってきている。地方における事業承継の解決策の選択肢が広がり、より多くの企業が未来に向かって進んでいけることを期待している」と語った。
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