特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2017年09月29日 12時00分 公開

メッシュネットワークの草分け「Z-Wave」の知られざる実力IoT観測所(37)(3/4 ページ)

[大原雄介,MONOist]

買収後もZ-Wave Plus、Z/IPなどを追加し規格を拡充

 シグマ・デザインズによる買収後、今度は同社が中心になってZ-Waveの拡充が図られてゆく。とはいっても、Z-Waveに関するロードマップや技術策定、製品開発などは引き続き旧ゼンシスのメンバーが中心だったようなので、基本的には何も変わっていないというべきか。

 2013年にはZ-Wave Plusと呼ばれる、Z-Waveと下位互換を維持した規格がリリースされる。Z-Waveとの違いは以下のようになっている。

  • 最大到達距離を150mまで伸張
  • バッテリー寿命を最大50%削減
  • 転送帯域を250%増し
  • 3つのRFチャネルのサポート(これによりノイズ耐性向上と高帯域が実現された)
  • ネットワークへのデバイス追加に、新しいプラグアンドプレイの仕組みの導入
  • OTA(Over-The-Air)ファームウェアアップデート機能の搭載
  • 製品データベースの改善

 このZ-Wave Plusは「Z-Wave 500(ZM5101)シリーズ」がサポートしており、要するにシグマ・デザインズのSoC(System on Chip)を使うという構図には違いが無い。しいて言えば、このZ-Wave 500シリーズは、2014年に日本のミツミ電機に対してライセンス提供されており、ミツミ電機がセカンドソースとなって提供を行っているので、一応2社からチップは入手できるようになっているのだが。

 このZ-Wave Plusと並行というか、これとは別のレイヤーでTCP/IPへの対応が2007年から検討されており、これはZ/IP(Z-Wave over IP)として標準化が完了している。今どきのスマートアプライアンスは、スマートフォンなりPCから、もしくはクラウド経由で操作とかレポートとかが出来ないとユーザビリティが著しく落ちると判断されるのは当然だし、だからといってスマートフォンにZ-Waveのチップを載せようというのもむちゃな話である。

 だからといって、既存のアプリケーションをIP対応にするのも無理がある。何しろ既存のゼンシス/シグマ・デザインズのZ-WaveチップがIPに対応していないのだから、これを改変するくらいならそれこそThreadなりBluetooth Meshなりを使って新しい製品を出すほうが早い。そこでZ/IPでは、コントローラーにTCP/IPネットワークとのゲートウェイ機能を持たせることにして、このゲートウェイ機能を細かく定めることで、既存のZ-WaveのネットワークにTCP/IPネットワークからアクセスできる手段を提供した(図3)。

図3 図3 Z/IPを利用した単純な例。ここではタブレット端末がつながっているが、実際はクラウドなどと連携することも可能である

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