マルチローター機による土石流災害予測シミュレーションの実証実験を実施ドローン

NEDOは、民間企業と教育機関と共同で、土石流災害予測シミュレーションの実証実験を実施した。マルチローター機などを活用し、将来起こり得る土石流災害をシミュレーションする技術の有効性を検証した。

» 2016年12月12日 08時00分 公開
[MONOist]

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2016年11月24日、国際航業、東北大学、エンルート、工学院大学、フィールドプロと共同で、長崎県雲仙普賢岳における土石流災害予測シミュレーションの実証実験を行ったと発表した。マルチローター機と土砂サンプリングデバイスで立入制限想定区域の土砂を採取し、将来起こり得る土石流災害をシミュレーションする技術の有効性を検証した。

 実証実験は、長崎県の雲仙普賢岳・水無川1号砂防堰堤左岸において行われた。土砂サンプリングデバイスを吊り下げたマルチローター機が立入制限区域を想定した場所まで自律飛行し、所定の場所でデバイスを着地させ、ローラーを逆回転させることで土砂を採取した。その後、土砂とデバイスをマルチローター機が回収するなどの実用化に向けた検証が行われた。土砂の採取は複数箇所で実施され、それぞれの粒度を分析することで土石流災害のシミュレーションによる見える化が可能になる。

 日本の活火山は、頻繁に噴火が発生し、時には犠牲者を出すこともある。そのため、火山周辺など立入制限区域内の調査は喫緊の課題となっている。NEDOでは2014年度から土石流災害に着目し、マルチローター機を自律飛行させ、立入制限区域内で高精細な画像データや3次元地形を取得するシステム、土砂サンプリングデバイスの研究開発など、高精度な予測シミュレーションのための研究開発を行ってきた。

 同実証実験は国土交通省協力のもと行われ、プロジェクト終了の2017年度まで同省と連携しながら実証システムやロボットを改良し、実用化を目指す。

photo マルチローター機と雲仙普賢岳のイメージ
photo 土砂サンプリングデバイス

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