図研のプライベートイベント「Zuken Innovation World 2016」に、2016年4月に分社独立した図研プリサイト社長の上野泰生氏が登壇。「まっ先に、めざす先。」と題し、同社のビジョンを紹介した。
図研は2016年10月13〜14日、横浜市内でプライベートイベント「Zuken Innovation World 2016」を開催した。初日の講演では、図研プリサイト社長の上野泰生氏が登壇。「まっ先に、めざす先。」と題し、同社のビジョンを紹介した。
図研は、創業以来の中核事業であるエレクトロニクス設計自動化分野にとどまらない新たなソリューションの開発・販売を目的にした「プリサイト事業部」を2010年に発足。コーポレートベンチャーとして、BOMや3Dデータ関連のビジネスを担当した。このプリサイト事業部が、2016年4月に分社化して誕生したのが図研プリサイトである(関連記事:図研プリサイトが営業開始、PLM/CAD導入支援/ナレッジ管理事業を一体分社化)。
分社化の背景には、
などの目的がある。上野氏は「分社化は非常に価値があるものだった」と評価する。
図研は、プリサイト事業部を発足させて以降、現在の図研プリサイトがカバーする分野における高い技術を獲得するため、パートナーシップの拡充にも取り組んだ。2010年にはラティス・テクノロジーと資本提携。「ラティス・テクノロジーの3Dデータの軽量化技術『XVL』が、図研の次のソリューションのコア技術になると確信した」(上野氏)ことが理由で、現在もビジネスでの関係を深めている。
2011年には製造業の設計コンサルティングを行うO2と業務提携。「設計プロセスやデータ整理の分野で一緒に取り組んでいる」(同氏)という。さらに、2014年には、2012年から業務提携していた東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)への出資も決めている。「B-EN-Gの『MCFrame』は生産管理システムのベストセラーだ。このファミリーの1つとして『MCFrame PLM』という製品があるが、同製品には図研プリサイトの『visualBOM』をOEMとしてこの7月から提供している」(上野氏)。
B-EN-Gとの間では2015年に、設計から製造、販売、サービスにわたるさまざまな情報を、双方向かつタイムリーに流通させるITソリューションの企画・開発目指すジョイントベンチャーのダイバーシンクを設立している(関連記事:設計と製造をつなぎ込め! 図研とB-EN-Gの新合弁会社「ダイバーシンク」が始動へ)。2016年末には、最初の製品となる生産工程設計システム「E-M Bridge(仮称)」をリリースする予定だ。
図研プリサイトは発足に当たり、同社がプリサイト事業部で提供してきたソリューションである「3D CAD」「統合BOM」「生産管理(工程設計)」に、新たに「ナレッジマネジメント」を加えた。
BOMに関しては、図研グループ製品が15%のシェアを占めており、さらに市場全体も拡大している。このうち同社のvisualBOMについては、「3D CAD導入により泣き別れになった図面を、3DビュワーとBOMの一体化により再現させようとしたのがもともとのコンセプト。この製品の特徴は図面にある」(上野氏)という。
この3DビュワーとBOMの一体化の技術については、以下の特許を取得している
「これらの基本特許を前面に出してお客さまに提案していきたい」(上野氏)と販売に力を注いでおり、実際にvisual BOMは、産業機器メーカーを中心に50社以上に導入されるなど実績を伸ばしている。また販売方式も直販から間接販売へと移行している。
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