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» 2016年08月16日 10時00分 公開

産業用UAVから始まる、デンソーの新たなロボット事業(2/3 ページ)

[朴尚洙,MONOist]

「D-CORE」による姿勢維持と運動性

 HDC01の最大の特徴は、デンソーが開発した姿勢維持と運動性を制御するコントロールユニット「D-CORE」である。慣性センサーや高度センサーなどを使って、4個のローターのピッチを状態に合わせて変えられる可変ピッチ機構は、産業用マルチコプターでは初採用となる。

「D-CORE」による可変ピッチ機構 「D-CORE」による可変ピッチ機構(クリックで拡大) 出典:デンソー
「HDC01」のローター「HDC01」のローター 「HDC01」のローター。ピッチを可変制御できる(クリックで拡大)

 一般的なマルチコプターは、複数個搭載するローターのピッチを変えない固定ピッチになっており、風や気流などの外乱によって姿勢が乱されると、元の位置/姿勢に復帰するのに数秒〜数十秒かかる。しかしD-COREによる可変ピッチが可能なHDC01の場合、外乱からの復帰は数秒以内で済む。

可変ピッチと固定ピッチの比較 可変ピッチと固定ピッチの比較(クリックで拡大) 出典:デンソー

 可変ピッチの特徴が最も大きく出るのが、上昇と下降の運動性だ。固定ピッチのマルチコプターは100mを上昇/下降するのに2〜3分かかるが、HDC01は20秒で上昇/下降できる。

 さらに、ローターが4個で済ませられる点も可変ピッチの強みによるところが大きい。加藤氏は「一般的なマルチコプターは、4個あるローターのうち1個でも壊れると墜落してしまう。そのため、ローターを6〜8個に増やしていることが多い。HDC01のローターは最低限の4個だが、もしローターが1個が壊れても墜落せず、軟着陸することができる。UAVやドローンのエネルギー効率や輸送重量に関わる揚力を高めるにはローターの羽根の直径を大きくする必要がある。そのことを考えるとローターが4個で済むことの効果は大きい」と強調する。

 HDC01の仕様では、搭載重量が2kg、飛行時間が9分半となっている。固定ピッチの産業用UAVでみられる、10kg近い搭載重量や、15分という飛行時間と比べると物足りない性能だ。「モーターの実力値的にはもっと重いものを輸送できるが、姿勢制御にモーターの能力を割り振っているためこの仕様に抑えている。飛行時間については、UAVで必ず行う上昇と下降の時間が短くて済むので、実質的には変わらないと考えている」(同氏)。

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