ファナックが「FIELD system」の実現を目指す中で重視しているのが「Edge Heavy」である。これは「Edge(現場)を重視する」とした考え方で、あくまでも製造現場に寄り添ったIoTシステムを目指すというものだ。実は「FIELD system」という名前にもこの思いが込められているという。
「FIELD system」は、「FANUC」「Integrated」「Edge」「Link」「Drive」の頭文字を取ったもので「特に『Edge(現場)』と『Drive(動かす)』にこだわった。製造現場で実際にモノを動かしてこそファナックとして取り組む価値がある」(稲葉清典氏)としている。ファナックでは既に350万台以上の製造機器を出荷しており、これらの既存機器のIoT化にも取り組んでいく方針を示している。あくまでも上位のITシステム領域はパートナーシップに任せ、ファナックとしては、製造現場に寄り添うという姿勢を示しているといえる。
「FIELD system」については、基本的にはオープンなシステムとし、認証は行うものの「(競合企業の意向次第だが)基本的には競合企業でも接続可能としていく」(稲葉善治氏)。OSについてもWindowsでもLinuxでも対応できるようにし、ファナックなどが提供する汎用アプリケーションの他に、3rdパーティが提供するアプリケーションや深層学習アプリケーションなども提供する。既にファナックとシスコが協業により米国で提案を開始している「ゼロダウンタイム(ZDT)」についても、同アプリケーションの一部として提供していく方針だ※)。
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また、当面はファナック内でのデータ連携を目指すとしているが、異種システム間のデータ連携も将来的には実現する方針。異種システム間のデータ連携については、各団体でインタフェースの標準化をどうするかという議論が白熱しているところだが、同社では「異種環境間の差を吸収するミドルウェアを開発する計画。詳細についてはこれからさまざまな技術を検討していく」(担当者)としている。
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