会見には、MIJSのこれまでの活動を支えてきたファウンダー企業の代表も参加した。ウイングアーク1st社長の内野弘幸氏は「2006年の発足時はメディアの皆さまの対応は冷ややかだったが、そのことも糧にしながらMIJSの活動をやり切ることができたと思う。特に、今回新理事長になった内山氏のWEICは、MIJSに参加した2007年当時は“ど”ベンチャーと言っていいほどだったが、MIJSの支援もあって大きく成長した。その内山氏が考えた、MIJSを活用するJAPAN Tech Valleyプロジェクトは素晴らしい取り組み。創設者の1人としてしっかり支援していきたい」と語る。
サイボウズ社長の青野慶久氏は「MIJSの発足時、私は社長に成りたてで、M&Aに失敗するなど厳しい環境にあったが、MIJSでさまざまな知見やネットワークが得られた。またリーマンショックの際には顧客動向の情報を共有したり、その次の波となったクラウドへの対応を模索したりと、MIJSのおかげでサイボウズは当初よりも強い会社になれた。今後は、20〜30代のIT系ソフトウェアを手掛ける経営者を助けていきたい」と述べる。
質疑応答の中では、報道陣からMIJSの約10年間について総括を求められた。これに対して、「自信を持って世間に訴えられるだけの成果はあったと思っている。何より海外勢への対抗手段としてMIJSは有効だった。クラウド時代の今、互いにつながれるようでなければダメだし、MIJSはそのプラットフォームになれる」(内野氏)、「『日本発のソフトウェアを世界へ』という目標は達成できなかったが、海外勢に対抗する基盤は作れたと思う。現在、MIJS会員の中国や東南アジアなどにおける売り上げは伸びている。10年間の活動はマイナスではなくプラスだし、その延長線上にグローバルベンダーへの道は開けている」(青野氏)、「創設時と比べて世界市場で戦う仲間が増えた。目標は達成できなかったが進んでいるし、その成果を第2ステージに引き継ぎたい」(インフォテリア社長の平野洋一郎氏)として、MIJSの成果を強調している。
また今後のIT系ソフトウェアベンダーの成長には、IoT(モノのインターネット)トレンドを取り入れた製造業との連携が不可欠だ。これについては、製造業を中心に事業を展開している東洋ビジネスエンジニアリング常務取締役の羽田雅一氏が回答した。「現在、当社のお客さまである製造業はITの知見を生かさないとビジネスにならないと考えるようになっている。製品をゲートウェイにして、その製造業にとってのお客さまの色んな情報を把握し、そこから新たなビジネスにつなげようとしている。であれば、そういった製造業やハードウェアの企業にもMIJSの仲間に加わっていただければ、などと思っていた。新理事長の内山氏が打ち出したJAPAN Tech Valleyであれば、製造業やハードウェアの企業も参加できる枠組みになるだろう」と述べている。
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