グレースノートは車載情報機器のオーディオ機能向けに、音の聞こえ方を調整するイコライザーの自動設定やラジオの楽曲の自動認識などの技術を開発した。2016年中に発売する新車のライン装着用の車載情報機器で採用が決まっている。
致命的な支障はないから気にならないけど、もっと便利だったらうれしい――。身の回りには、耐えられないほどではない小さな不便さが多い。クルマの運転中にも、そうしたほんの少し不便なことに遭遇する。Gracenote(グレースノート)は、車載情報機器のオーディオ機能の“小さな不便さ”を解決する技術を開発した。2016年中に発売する新車のライン装着用の車載情報機器で採用が決まっている。
クルマの中で聞く楽曲の音へのこだわりは人によってさまざまだ。スピーカーやヘッドユニットを好みのメーカーに買い替える人もいれば、初期設定から変更したことがない人もいるだろう。好みの音の聞こえ方を実現する方法の1つがイコライザーの設定だ。
イコライザーは、低音から高音まで周波数ごとに音量を設定するもの。低音を控えめにして高音を響かせたり、低音を強調させたりと好みの聞こえ方に調整できる。1つ1つの周波数帯を手動で設定するタイプと、音楽の系統ごとに既定値が決められておりジャンルを選ぶだけで設定できるタイプがある。
イコライザーは、いろいろなジャンルの音楽をランダム再生して聞くような人には、少し不便な機能だ。例えば、ロックに合わせたイコライザーの設定がポップスにも合うとは限らない。しかし、運転中に曲が終わる度にイコライザーを設定し直すのはとても面倒だし危険な作業だ。
曲にあった設定の方が雰囲気を味わいやすいが、イコライザーの設定が合っていなくても音楽は聞けるため音の追求は諦めざるを得ない。
グレースノートは、曲ごとの最適なイコライザーを自動で設定するシステムを組み込みで実現した。
曲に合わせたイコライザーに自動設定する機能「ダイナミックEQ」の基盤となるのは、グレースノートの楽曲データベースの豊富さだ。グレースノートは1998年からCD認識技術の開発に取り組んでいる。車載情報機器やPCは、プレーヤーにCDを挿入すると自動的にタイトル名やアーティスト名を表示するが、これは組み込み型もしくはクラウド連携型のグレースノートのデータベースを参照していることによる。
同社のデータベースに登録されている楽曲は2億曲にのぼる。世界各国の同社スタッフが、レコード会社などの情報を基に人力でデータベースを更新し続けている。
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