「IoTで便利になる」その裏側に潜む危険性にどうやって対処すべきか。「火事を出す」「空き巣に入る」といった直接的かつ物理的な危険性を回避するため、どんな手法が考えられるのか。
ホームコントローラーの導入によって、エアコンや施錠が外出先からスマートフォン操作で行えて利便性が向上する ―― IoTの一例であるHEMSのついて語る際に頻出する例だが、エアコン操作アプリにバグがあって、知らない内に1時間で数百回のON/OFFが繰り返されたら? スマホで施錠操作しているところを見られて不在が知られ、空き巣に入られたら?
東京大学の馬場博幸氏(生産技術研究所 荻本研究室特任研究員)は2016年3月4日に行われた「スマートIoT推進フォーラム」の第1回合同会合にて、IoTの導入によって顕在化した危険性に対処するためには、従来の対策(情報セキュリティ)に加え、新たな仕組みが必要になると強調した。
この「スマートIoT推進フォーラム」は、IoTやビッグデータ、人工知能を産官学で活用するための枠組みとして2015年10月に経済産業省と総務省が設立した「IoT推進コンソーシアム」の下で、技術開発や実証を行うワーキングループだ。
2016年3月4日に行われた合同会合は、このスマートIoT推進フォーラムに設けられた「技術戦略検討部会」「研究開発・社会実証プロジェクト部会」の報告会であり、産官学がそれぞれ取り組んでいるIoTの実証例や実証から得られた必要要件、IoT推進に必要といわれるテストベッドの有用性についてなどの各種報告が行われた。
報告はさまざまな分野でのIoT実証事例、情報通信研究機構(NICT)のテストベッドを利用した研究開発事例、今後の活動方針と3部構成にて行われ、馬場氏のIoTセキュリティに関する警鐘は同氏の「スマートハウス研究を踏まえたIoT実現への方策」と題した発表の中で言及されたものだ。
馬場氏は発表の中で東京大学 生産技術研究所のスマートハウス「COMMAハウス」や、同学とHEMSアライアンスの共同事業である「HEMSアプリケーション創出事業」を紹介しながら「HEMSもIoTの1ユースケースであり、HEMSもIoTと同様に1社だけでの取り組みでは完結しない」と紹介した。その解決のためには、アプリ(ソフト)ベンダーが“モノ”へ容易にアクセスできる実験環境(テストベッド)やAPIやプロトコルの変換サービスなど、“モノとコト”を連携させる仕組みの充実が必要だと述べる。
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