解析ツールを「育成ツール」の視点で、JVCケンウッドの組み込み設計改革(2/2 ページ)
開発現場に解析ツールを導入した場合、通常ならば「解析」「担当者確認」「担当者修正」というフローを繰り返していくことになるが、阿部氏のチームでは「解析」「担当者確認」「コードレビュー」「担当者修正」「ガイドライン修正」とすることで、コードレビューの時間を増加させ、ひいては参加スタッフのスキルレベルアップ、チーム活性化を実現したのだ。
コードレビューのやり方(JVCケンウッド 阿部博己氏講演:「品質向上に結果を出す静的解析のチーム運用術」より)
このサイクルを導入することでコードレビューの時間は3倍に増加し、技術的な問題点の発生は半減したという。さらにはメンバー自身のスキルアップも図れることから、今後の製品開発にも好影響が期待できると阿部氏は述べる。ちなみに阿部氏のチームではC++testにJenkinsを組み合わせ、夜間にバッチで自動解析を走らせている。
ツール導入を実装レベルの改善だけではなく、メンバー教育にまで活用することに成功した阿部氏だが、そのポイントとしては「スキルの共有化」「モチベーション向上」「スキル定着」の3点を挙げる。コードレビューを通じてスキルをチーム内で向上させることはもちろん大きな目的であり成果であるが、チームとして自発的に取り組み、それを継続させる姿勢の醸成も同時に図らねばならないと言う。
設計者のレベルアップが高信頼性商品を生み出す(JVCケンウッド 阿部博己氏講演:「品質向上に結果を出す静的解析のチーム運用術」より)
いわば「チーム力の向上」こそが組み込みソフトウェア開発に欠かせない要素であり、導入したC++testについても解析ツールとしてだけではなく、「育成ツール」として活用する視点を持つことで、より大きな恩恵を受けられるとした。「今後は他部署との連携も進めて、設計改革を進めていきたいと考えている」(阿部氏)。
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