つながる価値をスポーツへ、家電のCerevoが挑む新ジャンルのモノづくりベンチャーニュース(3/3 ページ)

» 2015年12月21日 07時00分 公開
[陰山遼将MONOist]
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スポーツ用品メーカーとの協業を考えなかった理由

 SNOW-1は当初、バインディングそのものに機能を組み込むのではなく、機能のみを既存のバインディングに取り付けるといったアドオン製品としての開発も想定していたという。しかし岩佐氏は「単に後付けで機能を加えられる通信チップのような製品として発売しても、分かりやすさがない。製品の機能や面白さが伝わらないまま消えていくのではと思い、このバインディングのかたちで出すことが重要だと考えた。アドオン形式については、『あのSNOW-1の機能だけを取り出した製品が出た!』というように、後から発売することもできる」としている。

 スポーツ分野では技術やノウハウを言葉や感覚だけなく、数値化してより分かりやすく捉えようという動きがここ数年間で急速に進んでいる。SNOW-1もこうしたニーズを狙ったCerevo初のスポーツ向け製品だが、既にバインディングを開発しているスポーツ用品メーカーとの共同開発という方法も検討できたはずだ。これについて岩佐氏は「既存ビジネスで成功しているメーカーが「ネットにつながる世界初のバインディングを作る」という新しいビジネスに手を出すのはハードルが高い」と述べる。

 また、「どうしても共同開発というかたちだと、スタートアップであるCerevoが強みとしているスピード感のある開発というメリットが生かせないことも多い。それなら粗削りでもいいからまず“自分たちの定義”で作った製品を世に出してしまう。それを見た人が「え、こんなの作れるの?」となれば、スタートアップである僕ら(Cerevo)が強い立場を保ったままアプローチできる」としており、今後は協業も視野に入れているという。

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