災害に「全く同じ」というものはありません。災害が災害を呼ぶ複合型も多く、また、地理的な条件が異なれば災害現場の被害も当然異なります。では、これからの未知の災害にどう備えればいいのでしょうか。
オ氏や金広氏は「あらかじめタスクを決めて、それに特化したロボットをデザインすることは可能だが、それでは災害現場で通用しない、環境に対してどれだけの適応能力があるか、汎用性が重要になってくる」とします。
中村氏は「ソフトウェアとセンサー、メカニズムなどを短期間に組み合わせて動くものにしていく技術が必要なのでは」と述べますが、これは、稲葉氏が進めるオープンソースプラットフォームを基盤としたロボット開発に通じる考え方といえます。ロボット開発に共通となるプラットフォームが整備されていれば、その状況に合わせたシステムを短時間で作成できるようになります。
少しでも時間がある場合であれば時間をかけて作り込み、1時間、30分間が大事にという一刻を争う事態ならば即時性を重視したロボットを短時間で作り投入するという形です。そうしたプラットフォームの整備、維持コストをどういうふうに社会の中に認められるようにしていくか、世界中で考えなければならないだろうと言います。
考えようですが、この「プラットフォーム化による柔軟な開発」が可能となることにより、ロボット技術の汎用性を担保したまま、迅速に、実際の災害現場に即した対策ロボットを作ることができるのかもしれません。
最後に、司会を務めた弓取氏が「どこでどのような災害が起こるかわかりません。その中でデータ、知識、経験を広く共有し、対応していくことで、ロボットは災害対策のすばらしいソリューションになり得るのではないでしょうか」と述べてパネルディスカッションを締めくくりました。
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