バージョン2.0では、OMG HAL4RT仕様に準拠するため、APIの接頭辞をelからHalに変更した。これは、OMGのアーキテクチャ委員会においてHAL4RTという規格名にもかかわらずなぜ接頭辞がelなのか?という指摘があったためである。
また、ロボットやFA機器において広く採用されている各社のモーターについて、モーターのパラメータなどを細かく設定できるよう、パラメータ設定用のAPIが導入された。さらに、モーターだけではなく、ジャイロセンサーやトルクセンサーにも対応した。また、コンポーネントレイヤーという名称を「デバイスレイヤー」に変更した。
さらに、OpenEL 1.0では、32bitの物理IDのみを規定していたが、32bitでは世界中の全てデバイスに対応できない可能性があるとの指摘を日本国内の有識者からいただいたため、USBの規格のように、ベンダーID、プロダクトID、インスタンスIDを導入した。よって、これらのIDを元にHalInit()時にデバイスIDが構成され、デバイスレイヤー内のコンポーネントが特定できるようになった。
JASAの標準化戦略を図3に、OpenEL、OMG HAL4RT、ISOにおける国際標準化シナリオを図4に示す。
2015年10月28日現在、OMG HAL4RT RFPに対する3rd Revised Submissionの文書案(HAL4RTの最終仕様案のこと)を作成中である。12月のOMG技術会議のアーキテクチャ委員会において承認されると、最終仕様のβ版が公開されることとなり、世界中からコメントを募ることとなる。
上記OMG HAL4RTの結果を踏まえて、OpenEL 2.xにアップデートする予定である。
2015年3月までJASAが独自に進めてきたOpenELの国際標準化作業であるが、経済産業省の平成27年度戦略的国際標準化加速事業に採択されたため、2015年4月からはISOでの国際標準化を目指すこととなった。ちょうど2014年10月から、ISO/TC184/SC2/WG10(サービスロボットのモジュラリティ)が活動を開始したこともあり、WG10においてOpenEL(OMG HAL4RT)の標準化を提案しているところである。
2015年10月28日現在、WG10では規格文書「Modularity for service robots - Part 1:General requirements(サービスロボットのモジュラリティ - パート1:一般要求事項)」のWD(ワーキングドラフト)を作成しており、このWDにサーフェースレイヤー、デバイスレイヤー、ベンダーID、プロダクトID、インスタンスIDなどの用語が取り込まれている。2016年6月にNWIP(New Work Item Proposal)を行い、規格番号が決定する予定である。
上記のように、今後、JASAを中心に日本のロボットメーカー、デバイスベンダー、ソフトウェアベンダーが一丸となり、OpenELの採用ならびに国際標準化を推進していく予定である。
JASAでは、2015年11月18日(水)〜20日(金)にパシフィコ横浜で開催されるEmbedded Technology 2015において、OpenELに関する講演やOpenELを採用した機器のデモ展示を行う。ぜひともご来場いただき、OpenELに直接触れていただければ幸いである。
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