日産の自動運転は“心地よい”、コンセプトEV「Nissan IDS Concept」東京モーターショー2015(2/3 ページ)

» 2015年10月28日 22時00分 公開
[西坂真人MONOist]

“人にとって心地よい”自動運転とは

 今回お披露目されたNissan IDS Conceptには、ニッサン・インテリジェント・ドライビングが有する2つの機能を「PDモード(パイロットドライブモード:自動運転)」と「MDモード(マニュアルドライブモード:ドライバーの意思で操作)」という2つのモードで搭載している。

会場では「PDモード(パイロットドライブモード:自動運転)」のデモンストレーションも行われた。運転席に座っている男性はステアリングを握らず、助手席の女性と談笑している。Nissan IDS Conceptは登壇するゴーン氏を避けて走り、右回りにぐるっと回って定位置にピタッと止まった

 PDモードではドライバーの前からステアリングが姿を消し、インストルメントパネル中央に大型モニターが出現する。天然素材やメッシュ調レザーを使ったインテリアが、柔らかく落ち着いた光で優しく照らされ、開放感のある車内は4つのシートが内側に少しだけ回転する。このような演出も加わることで、あたかもリビングルームでリラックスしているような心地よい空間の中で、乗員全員が豊かなコミュニケーションを取ることができるという。

自動運転のPDモード(パイロットドライブモード) 自動運転のPDモード(パイロットドライブモード)

 「ストップ&ゴーの多い渋滞時にはこのPDモードを使って自動運転し、メールを確認したりテレビ会議に参加したり、もしくはゆっくりリラックスできる」(ゴーン氏)

 一方のMDモードでは、すべてのシートは前方を向き、乗馬で使う手綱をイメージしたステアリングや、メーター、ヘッドアップディスプレイなどが出現。インテリア照明は運転に集中できるブルーに変わるなど、ドライビングを楽しむための空間へと変貌する。これらのモード切り替えは音声認識やジェスチャーではなく「PDコマンダー」と呼ばれる機械的なスイッチによって行われる。音声やジェスチャーでの操作としなかったのは、「人間が責任を持って運転することを明確にするため」(同社)

 もちろん、MDモード時にも危険が近づいたときにはクルマがドライバーをアシストする機能を装備。周囲の障害物や車の状況を認識し、その情報に基づいて判断するとともに、他の自動運転車や歩行者とコミュニケーションを図ることもできる。また、ドライバーの好みや行動を学習し、ドライバーが意図した通りの運転をすることも可能だ。

 同社は2020年までに高速道路と市街地を運転できる自動運転車を商品化するというアナウンスをしているが、それに先駆けてこのニッサン・インテリジェント・ドライビングでのテクノロジーを新型車に順次導入していく構え。

 「第1弾として2016年末には混雑した高速道路上で安全な自動運転を可能にする技術『パイロットドライブ1.0』を世界に先駆けて日本市場に投入する。続いて危険回避や車線変更を自動的に行う複数レーンでの自動運転技術『パイロットドライブ2.0』を導入する予定。これらを手ごろな価格で新型車に導入し、自動運転車の市場を創出していく」(ゴーン氏)。

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