専用機である「組み込み機器」の開発に際しては、ハードとソフトの双方に渡る開発が必要となるケースがほとんどです。身近な家電である「BDレコーダー」を例に、開発の手順について解説します。
この連載ではこれから組み込み機器開発に携わる技術者・エンジニアを目指す方を対象に、組み込み機器開発の入門編として知っておくべき内容を広く説明します。
第1回では「組み込み機器とは」について説明しました。組み込み機器が世の中にあふれていて日常生活にかかせないものとなっていることを理解いただけたかと思います。
今回からいよいよ本題に入り 「組み込みシステム開発」について説明します。
組み込みシステム開発とは、今や日本の製造業に欠かせないものであり、組み込みエンジニアにとって会得しておきたい技術となります。ここでは、組み込みシステムを作り上げるまでの開発手順を解説していきましょう。
開発の手順に入る前に、組み込みシステムの特徴と、それが開発にどのように影響するのか、について触れておきます。
組み込み機器とPC上で動作する業務ソフトウェアでは大きな違いがあります。組み込み機器は「目的に特化」したハードウェアですが、PCは「汎用的」なハードウェアです。そのため、組み込み機器の開発とPC上で動作する業務ソフトウェアの開発方法も異なります。組み込み機器の開発では、組み込み機器の特徴に合わせたシステム開発が必要です。
まず例として、PC上で稼働するPOSレジの業務ソフトウェアの開発を見てみましょう。PCにはバーコードリーダーなどPOSレジに必要なハードウェアがついていないため、新たにバーコードリーダーなどの機器を準備する必要があります。バーコードリーダーは、PCに接続し、付属のソフトウェア(ドライバ)をインストールするだけで利用できるようになります。あとは、エンジニア(ソフトウェア技術者)が、POSレジのアプリケーションを開発するだけです。
では、組み込み機器はどうでしょう。組み込み機器は用途に特化したハードウェアやソフトウェアで構成されますので、ハードウェアとソフトウェア両方の開発が必要なケースがほとんどです。既存製品を利用できるケースはあまりありません。
このように、組み込み機器のシステム開発とPC上で動作する業務ソフトウェアの開発とでは開発範囲に大きな違いがあるのです。
次はBD/DVDレコーダーを例に、組み込みシステム開発の流れについて説明します。
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