決勝の翌日、競技場に近いコンベンションセンターで、DARPAロボティクスチャンレンジの締めくくりとなる「ワークシップ」が行われた。
DARPAのプラバッカー長官、同プロジェクトマネージャーのプラット博士が各チームの戦いを総括。その後、アメリカ、日本、韓国、シンガポール、UAEそれぞれの政府関係機関、そしてEU(欧州委員会)の順に、ロボット技術開発とロボット産業の育成についての施策について説明した。
続いて、決勝トップ3チームがそれぞれ、これからの開発の経緯を説明した。
そのなかで、充実した資料を基に最も詳細な発表を行ったのが、カーネギーメロン大学だ。プロジェクトは総勢59人で、専任者は15人。ハードウェアもソフトウェアも過去の研究および実験装置からの流用は全くなく、ゼロから作り上げたという。
設計の重要項目は3点ある。タスクに関する動きは人間的だが、移動では歩行せずに戦車のようにローラー移動すること。オペレーターとのインタフェースを精査すること。そして自動運転を多く取り入れることだ。自動運転とは具体的に、タスクそれぞれを自動化することで、そのなかでロボットのワークスペースをコントロールすることに専念したという。
ハードウェアは1000個以上の部品で構成される。ロボットの顔の部分には、レーザーレーダー(ライダー)とステレオカメラを装備。これは同大学の関連企業、カーネギーロボティクス社製。同社製品はボストンダイナミクス「ATLAS」でも採用されているが、カーネギー大学のロボットとは当然、仕様が違うはずだ。また手足のアクチュエーターも強化しており、最大300ポンド(約135kg)まで持ち上げる。さらにクラッチ機構を装備しているので荷重オーバーの際、アクチュエーターの機構を守る。
また転倒した場合のリカバリーでは、どのようなシチュエーションからでも立ち直れるようプログラミングした。これを開発チームでは「スーパーマンモード」と呼ぶ。
ソフトウェア設計に関しては、OSとしてロボット向けのオープンソースであるROS(Robot Operating System)も活用しているが、同大学独自のOSも活用しているという。結果的にROSをミドルウェアとして利用していると考えられる。
決勝2位となった人間・機械認知研究所(IHMC ROBOTICS)の発表も興味深かった。最も注力したのはオペレーターのUI(ユーザーインタフェース)だという。ライダーの3D画像と共に、独自に開発した視認性の良いUIだ。オペレーターは同プロジェクト内では“最もテレビやスマホのゲームがうまい人”が選ばれたという。
なお、優勝したチームKAISTだが、発表用のプレゼンファイルに不備があり、ロボットの詳細まで分からない、というハプニングもあった。
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