「PTC Creo 3.0」、マルチCAD環境の完全提供へCADニュース(2/2 ページ)

» 2015年01月14日 10時00分 公開
[加藤まどみMONOist]
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ユーザーの負担を大幅に低減する

 PTCジャパン CAD事業部長の前田智徳氏は「Unite Technologyは、他のCADで作られたデータをそのままCreoで開き、編集の時だけ必要な箇所を選んで変換するという作業を、ユーザーに負担を掛けない形で実現する新技術。より簡単、よりスピーディーに、かつ設計者自身で作業できるようになる」と狙いを語る。

 一括してCADデータのフォーマットを変換するよりも、必要に応じて変換する方がコストは低い。一括変換をすると、不要なデータも全て変換することになるため、それに伴うエラーも増えてしまい、専用の人員および占有マシンが必要になる場合が多いからだ。

 Creoでは、従来より素早くファイルを展開・閲覧できるという。さらに、そのアセンブリファイルの一部のみ変換したい場合は、目的パーツとその親データのみを変換できる(図)。

Creo、CATIA、SolidWorksのファイルのうち、SolidWorksのみCreoに変換した様子。ファイルツリーのアイコンに出ている鎖マークは「元データと連携している」という意味

 また「オープン」によって閲覧している状態でも、形状を認識し、それを利用した検討が可能だという。「前もって設計検討中の部品データをもらい、それを利用しながら新たな業務を行う」場合、図のようにはじめの時点ではボルト用の穴が6つ開いており、1つにボルトを組み付けて「パターン」機能で「同じパターンである」と認識させると、残りの穴も一気にボルト締めができる。

 さらに部品設計者から「穴の数が増える」などの変更が加わったデータが送られてきた場合、オリジナルデータを上書きすれば、新たな穴にも自動でパターン認識され、ボルトが取り付けられる。更新作業に伴いもう一度ボルトを組み付けたりパターンを追加したりなどの余計な作業は生じない。

 「この機能によって、複数の開発段階の同時進行が可能になる。解析用モデル作成の場合は拘束条件なども追従する。本来の意味でのコンカレントエンジニアリングが実現する」(PTCジャパン CADインダストリーBDM ディレクターのグレッグ・ブラウン氏)という。

ボルト―パターン認識したところ
SolidWorksネイティブデータが更新され、Creoでの作業も自動更新されたところ。数の増えた穴にボルトが自動で取り付けられている

 実際に「事前に使ったユーザーからも大きなインパクトがあるという声をいただいている」(前田氏)という。従来は取引先の他CADデータを使って作業する際、変換作業によって1、2日ロスしていたのが、すぐ変換して作業可能になった例があるとのことだ。また取引相手に修正を依頼する場合、Unite Technologyによってその前に自分でCADデータを触って検討できるといった使い方をした企業もあるとしている。

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