もはや「M2M」「IoT」「クラウド」といった“つながる技術”は、組み込みに欠かせないキーワード。無線内蔵マイコンを搭載した「TWE-Lite DIP」で、これまで難しそうに思えていた無線通信の基本を、電子工作で楽しく体験しよう! 目指すは、家庭内M2Mだ!!
お久しぶりです。三月兎です。本誌連載「アイデア・ハック!! Arduinoで遊ぼう」で電子工作デビューを果たした筆者です。1年間に渡る連載のおかげで、初心者の看板もすっかり板についてきました。
この世界は奥が深くて、このまま万年初心者として「Arduinoが面白いから、もっと遊んでいたいな〜」と考えていた筆者の元へ編集部から次なる指令が飛んできたのです。
「今のトレンドはM2M、IoTでしょう。そろそろ無線通信を使って何かやりましょう!」
えっ……。
私は初心者の看板に掛けて、難しいことはやりたくありません(キッパリ)。だけど、天の声(編集部の意向)をスルーするわけにもいかず、「困ったなぁ〜」と悩む日が続きました。そんなとき、ETWest2014で無線内蔵マイコンを搭載した、東京コスモス電機「TWE-Lite DIP」(画像1)と運命の出会いをしたのです!!
正確にいうと運命の再会。TWE-Liteを電子工作でも簡単に使えるようにした「TWE-Lite DIP」は2013年夏のETWest2013で発表されており、記事でもご紹介しました(関連記事:【ETWest2013】“モノ”と“モノ”がつながる時代を支えるM2Mクラウド技術)。
初めてTWE-Lite DIPを見たときには、「マッチ棒型のアンテナがカワイイなぁ〜」と思って紹介しました。ユーザーさんからの反響も大きく、ETWest2014では、リクエストに応えてシリーズが拡張されていました。
ETWest2014で説明員の方にTWE-Liteシリーズについて尋ねたところ、私が記事を書いたことを覚えていてくださっていたので驚きました。そこで「実は、今、(むちゃぶりされて)困っているんです」とつぶやいたら、「TWE-Lite DIPはArduinoからも使えますよ」と言われて、「えっ! それなら私にもできるかも」と思いました。
試しにTWE−LITE DIPを2個購入して使ってみたら、本当にカンタン! ブレッドボード上で配線するだけで無線通信ができました。これなら私も電子工作に無線通信を取り入れることができそうです。ということで、TWE-Lite DIPを使って電子工作を始めることにしました。
あらためて紹介すると、TWE-Lite DIPに搭載されている「TWE-Lite」はZigBeeに対応する1円玉より小さな無線モジュールです。TWE-Liteには、32ビットのRISCマイコン、160KBのフラッシュROM、32KBのRAM、周辺回路などが搭載されています。
無線規格は2.4GHz帯のIEEE 802.15.4に対応。日本国内および諸外国での電波法認証(技適)を通っているので、日本を含めた世界38か国で免許なしで利用可能です。最良の条件下では1kmの通信性能を実現しているそうです。
モジュールの動作電圧は2.3〜3.6Vで、単三乾電池2本で動作します。プログラムを書き換え、無線通信の送受信タイミングを空けることで、コイン電池1個で数年間の動作も可能になります。
どうやらTWE-Liteの魅力は、何にでも組み込めるスモールサイズと遠距離まで届く通信性能、バッテリーを消費しない超省電力にありそうです。なによりも安価です(モジュール「TWE-Lite DIP」の完成品で2000円前後)。これはポイントが高いですね。
M2MやIoTの技術は、無線通信のインフラが急速に整ったこともあり、組み込み業界で実用化が急速に進んでいます。おかげで安価な無線モジュールが、パーツショップでも手軽に購入できるようになりました。だから、無線通信は身近なシーンで活用できるんじゃないかな?と筆者は期待しています。
例えば……
そんな家庭内のちょっとした不満を、M2Mを使った電子工作で解決できたらうれしいと思うのです。それが本連載のテーマ「家庭内M2M計画」です!
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.