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» 2014年09月10日 09時00分 公開

効果的な原価低減推進の考え方【前編】実践! IE;磐石モノづくりの革新的原価低減手法(4)(2/4 ページ)

[福田 祐二/MIC綜合事務所所長,MONOist]

見掛けの能率と真の能率

 「能率」には、単純に生産性を上げるだけの「見掛けの能率」と、必要なモノをいかに少ない人数で生産するかという原価低減に直接的に寄与する「真の能率」があります。

 例えば、ある製品100個を10人で作っていたとします。このとき、20%の能率を上げるにはどうすればよいでしょうか? 能率を向上させる方法は単位時間内の生産数量をアップさせる方法と、作業に従事している作業人員を減らすという、2つの方法があります。しかし、ここで考慮しなければならない条件は実際に必要とする生産数です。

 生産計画が、1日100個で変わらなかった場合、能率が上がるからといって毎日120個ずつ作ったとすると、毎日20個ずつ余ってしまいます。生産現場のムダの中で最も重視すべきは「作り過ぎのムダ」です。このように必要のない生産により、全体的にはムダを生み出しているだけなのに、生産高という一部分を切り出して見る能率のことを「見掛けの能率」といいます。この見掛けの能率向上は、材料費や労務費の先食いばかりでなく、在庫を管理するための場所や工数が増え、業績改善どころか、会社にとっては業績悪化の要因になってしまいます。それでは、必要数が減った場合でも、「利益につながる能率向上」を図るにはどのようにすればいいのでしょうか?

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 この場合は、1日100個を8人で作るように改善するというのが正解になります。これを「真の能率」と言います。これならば、能率も向上し利益増につながる原価低減となります。前者の「見掛けの能率」も、後者の「真の能率」も、どちらの方法も20%の能率向上なのですが、実際に必要とする生産台数が大前提であることを忘れてはなりません。

 生産能力を増やして能率を上げるやり方は「改善」としては容易です。一方、人を減らして能率を上げる改善方法は難しいため、多くの現場改善では能率向上というと必要数を無視した生産能力向上に突き進む傾向にあります。その結果として、必要以上に早いスピードでモノを作ってしまい、工程間に仕掛かりの山ができてしまう例を多く見掛けます。

 特に、減産時に、こういうやり方で能率向上を図ると、一方で生産高が減っているのにもかかわらず、費用の出費が増えてしまうという状況を招いてしまいます。いくら困難でも「真の能率」を向上させなければならない時は、それに挑戦していかなければなりません。私たちのモノづくりでは、生産量の増減は日常的に発生します。生産数量に応じて、人員の増減ができ、最も少ない人員で対応できる仕組みを構築していくことが大切です。

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