2013年12月、関西に情報通信技術(ICT)と、モノづくりの現場をつなぐ新技術開発及び実証実験を行う「関西積乱雲プロジェクト」が立ち上がった。
プロジェクトに参加するのは、関西に本社を置く東亜無線電機、日新システムズ、ベルチャイルド、木幡計器製作所、ニックの5社とカナダのコージェントリアルタイムシステムズ。各社がセンサーやM2M技術、セキュアな伝送技術、リアルタイム・クラウド技術を持ち寄り、共同開発を行う。「各社が強みを持ち寄り、センサーネットワークの構築からクラウドデータ処理まで一貫したサービスを安全に提供するのが狙いだ」(説明員)。
ETWestと同時開催の「Smart Energy Japan 2014 in Osaka」で、システムの紹介と実証実験などの成果を発表した。9月には大阪でセミナー開催を予定しているという。
IoTの考え方は2000年前後に提唱されたというが、これまではシステムを構築するのに多くの費用が発生するため、サービスの提供が難しかった。無線LANやスマートフォンの普及が進み、前述のように十分な機能を持つ小さなデバイスやバッテリーレス無線センサーが安価に入手できるようになり、現実的なものとなっている。
現在はどのようなサービスが市場を作るかをメーカー各社が模索中で、NTTPCコミュニケーションズは、水道メーター情報を活用したヘルスサービスや有害鳥獣捕獲をIT化するシステムなどの展示を行った。
水道のメーターにM2Mシステムを導入すれば、水道使用量のデータが自動検針可能となる。しかし、設置コストよりも現在では検針に回る人件費の方が安いため付加価値をつけなくてはビジネスにならない。独居老人宅の水道メーターを監視し、利用の有無から見守りシステムを構築するなど新規ビジネスの創造を検討しているという。
有害鳥獣捕獲のIT化は、山中に仕掛けたオリにマグネットセンサーや画像センサーを設置。Web上で捕獲状況をリアルタイムで確認するシステム。猟師が高齢化しており、広いフィールドを見回り確認するのが負担になっているため、システムで作業を軽減する。ビデオを設置することで、万が一、子どもがオリに近付くなどの事態が発生しても、迅速な対応をとれるという。
M2MやIoTの実現で、農地やトンネル、鉄橋など広いフィールドの環境情報収集が期待されている。中央電子のブースでは、千葉大学 野波研究室で開発された自律制御技術を利用した「完全自律型マルチロータ式電動ヘリコプタ(ミニサーベイヤー:Mini Surveyor)」を展示。遠隔操縦または完全自律飛行を実現した電動ヘリコプターで、上空からの環境情報収集を行う。
広い範囲に設置した多数の太陽光パネルを監視するのに、人が巡回すると1時間かかる範囲でも、ヘリコプターを飛ばせば15分で1周できる。トラブル時は、パネルが異常加熱するため熱感知センサーで検知できるという。パネルの異常を下から監視するのは難しいが上空からなら容易にチェックできるそうだ。他にも無人の建屋内で情報収集するなど、ミニサーベイヤーが活躍する場は多いという。
オムロンブースでは、画像認識技術を活用した「ウェアラブル 伝票認識システム」が参考展示されていた。OCRやパターンマッチング、バーコードリーダーなどの画像処理技術を組み合わせた「画像認識ソリューション」の具体例として参考展示したもので、会場ではAndroid搭載タブレット端末にてデモを行っていたが、システムはスマートグラスにも搭載することができる。
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