国内の総医療費が40兆円に迫る勢いで伸び、世界的にも高齢化や生活習慣病の増加、新興国での医療費増などで拡大を続けるヘルスケア業界。同業界の中でも特に注目度の高い医療機器分野とライフサイエンス分野への転職を目指す人に伝えたい「転職を成功させるためのポイント」を、ジェイ エイ シー リクルートメントの加茂慶大氏に尋ねた。
本記事は人材紹介会社「JAC Recruitment」加茂 慶大氏からの寄稿です。
ヘルスケア業界は大きく成長する可能性を秘めた市場です。大手電機メーカーが参入し、外資系企業も日本法人を設立、国からも今後の成長を担う産業としてさまざまな支援が打ち出されています。
そんなヘルスケア業界の中でも、転職先として有望なのは、医療機器分野とライフサイエンス分野でしょう。それぞれの分野にどのような採用ニーズがあるか、まずはそこからご説明します。
医療機器の中でも画像診断機器を手掛けている国内メーカーをはじめとして、政府政策もあり、海外進出に積極的です。海外進出を進める上で、求められてくるのは英語でコミュニケーションが取れて、現地市場を開拓する営業力があり、現地での人脈などを持っている人材です。技術的な進化も続いていますから、技術分野の人材ニーズももちろんあります。
求人情報を見てみても、国内企業では特に海外市場の事業展開を軸とした求人が発生しています。例えば、海外営業、海外マーケティング、グローバルSCM、海外法務などの職種です。
ライフサイエンス関連の企業では、研究部門やアプリケーションの人材を強化する動きが継続しています。再生医療をはじめ、国内のライフサイエンス分野の研究が世界的に高く評価されていることも追い風になっているのでしょう。
また同分野では、国内市場が活性化しています。今後も成長を続けていくため、営業やマーケティングなどの職種でも人材を求める動きが活発です。
ヘルスケア業界への転職を成功させるためには、「英語力」「即戦力性」が必要になってくるでしょう。
ヘルスケア業界でキャリアアップを目指していくなら、外資メーカーだけでなく国内メーカーにおいても、英語力が重要なカギになるでしょう。前述のとおり、日本の有力な企業は大半が海外進出に目を向けています。特にマーケティング部門や企画部門、SCMなどに所属される場合は、英語力が必須になります。
企業は即戦力となる人材を強く求めています。「どんな人でも採用します」という安易な人材採用には走りません。そのため、業界・職務の経験などが企業側のニーズにマッチしている必要があります。。採用企業と転職希望者、双方のメリットが合致して最大限に生きるようなケースが成功に結び付くと言えるでしょう。
転職活動の準備段階から、求人票を見て「この企業が求めるスキルは何か。どんなところが課題になっているのか」と考えてみてください。現職で働きながら転職活動を考える方は、なかなか時間が取れず準備を怠ってしまいがちですが、しっかりと自分の強みを生かせる求人に絞って応募しないと成功は難しいでしょう。
入社してから自分の強みをどう生かせるかという答えを準備している方は、それだけで面接時に好印象になります。その後の企業とのやり取りもスムーズに進むように感じます。
「英語力」「即戦力性」といった点が強く求められます。さらに言うなら、業界を問わず転職の際に求められるのは「PDCAサイクルを回せること」「成功体験を言葉として表せること」になってくるでしょう。
転職を希望するかどうかにかかわらず、現職での日々の業務をおろそかにせず、今の仕事に意味を持たせ、PDCAサイクルを回すように心掛けてください。そうして培ったスキルは、転職活動でも役立ちます。
日常業務の中で自分の強みや課題を常に意識し、改善行動を積み重ねていけば、人に誇れる成果を手にする機会も増えるはずです。転職活動時には、そうした成功体験を言葉として表すこと、言葉として他人に伝達できることが求められてきます。そういった準備も忘れないでほしいですね。
ジェイ エイ シー リクルートメント 医療業界部門 コンサルタント。
JAC Recruitment入社後より、一貫してヘルスケア業界を担当。医療機器業界の横断的な領域のマネジメント・経営層の方のご転職を支援する一方で、医療業界の企業担当としても活躍。横断的な知識に加え、各企業の採用背景・社風、業界動向などを常に収集した上での転職支援を心がけている。
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