ヤマト運輸が新型配送車を4カ月で開発、「クール宅急便」改革を加速保冷スペースは4倍に(2/2 ページ)

» 2014年04月22日 19時30分 公開
[朴尚洙,MONOist]
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荷室の乗降口の高さを抑えて作業負荷を低減

 新型配送車には、冷蔵/冷凍スペースを柔軟に変更できることの他に、もう1つ特徴がある。それは、荷室の乗降口の高さだ。

 従来のヤマト運輸の配送車は、保冷スペースを導入する上で必要な断熱材を荷室の下側に組み込むため、荷室の乗降口が保冷スペースを持たない一般的な配送車と比べて10cmほど高い位置にあった。新型配送車は、車両全体を新たに設計し直すことにより、断熱材を組み込みながらも荷室の乗降口の高さを一般的な配送車を同程度に抑えた。「たかだか10cmと思うかもしれないが、日々の作業負荷を低減するには極めて重要だ」(福田氏)という。

新型配送車の荷室の乗降口 新型配送車の荷室の乗降口(クリックで拡大)

 新型配送車では、荷室の乗降口以外の要因でも、車両の全高を低くする必要があった。従来比約4倍の保冷スペースを実現する上では、室外機の出力を同2倍にするとともに、荷室内に取り付ける室内機も1台から2台に増やしている。車両の上側に取り付ける室外機や室内機の重量が増加する場合、車両の全高が従来と同じだと、走行安定性を確保しづらくなってしまうのである。

新型配送車の室外機(左)と、荷室内に設置されている室内機(クリックで拡大)

 新型配送車で特筆すべきは、その開発期間の短さだろう。福田氏は、「通常、新しく配送車を開発するのに1年はかかるが、今回は約4カ月で完了した。従来のように、開発協力メーカーとの間で設計図をやりとりする形で開発を進めるのではなく、当社と開発協力メーカーの技術者が同席して開発を行うことで、開発期間の短縮を実現できた」と述べている。

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