エアバッグの前に付く「SRS」の意味を理解しよういまさら聞けない 電装部品入門(13)(3/4 ページ)

» 2014年04月08日 15時00分 公開

エアバッグの基本動作

 SRSエアバッグシステムは、時代の変遷とともにさまざまな種類の製品が登場しました。しかしここでは、現在の主流になっている構造を基に説明していきます。

 基本的には、前方からの衝撃を検出するフロントインパクトセンサー(静電容量式)、車体に衝撃が加わったことを検出する加速度センサーを内蔵し、フロントインパクトセンサーなどの情報も含めてエアバッグの展開判断を行うECUのSRSコントロールユニット、SRSコントロールユニットからの指示で火薬を着火させて窒素ガスを発生するインフレータ、インフレータで発生した窒素ガスが送られて瞬時に膨張するエアバッグなどの部品から構成されています。

インパクトセンサーの取り付け位置 インパクトセンサーの取り付け位置(車両のフロントバンパーを取り外した状態)

 フロントインパクトセンサーは、シートベルトでは保護しきれない前方からの衝撃が車体に加わったことを正確に検出できる必要があります。このため取り付け位置が非常に重要になります。

 一般的には、車体前方にあるフロントサイドフレームに取り付けられます。取り付け位置まで損傷が及んだ際に「衝突した!」と判断し、SRSコントロールユニットに衝突信号を送ります※3)

※3:取り付け位置まで損傷が及んでも、設定された加速度を伴っていないと衝突信号を送信しません。

 フロントバンパーが少しへこんでしまう程度の衝突でエアバッグが開いてしまうと過剰防衛ですし、逆に車体前方が完全に潰れてしまうまでエアバッグが開かないのも問題です。車種によって異なるフレーム構造などに合わせて、フロントインパクトセンサーの取り付け位置は絶妙に計算されています。

SRSコントロールユニット SRSコントロールユニット(クリックで拡大)

 SRSコントロールユニットは車室内中央部付近(主にセンターコンソール下部)に設置されます。フロントインパクトセンサーからの衝突信号を受けると同時に、SRSコントロールユニットに内蔵されている加速度センサーも「衝突した」と判断できる加速度を検出していると、正式に「衝突した」と判定するのです。

 つまり二重のチェックを行うことで、誤作動防止を図っているわけですね。

 正式に衝突したと判定すると、SRSコントロールユニットは瞬時にインフレータへ点火信号を送ります。点火信号によって瞬時に着火剤が燃焼し、窒素ガスが発生してエアバッグが展開します。

ホーンパッドの裏側と断面図 ホーンパッドの裏側と断面図

 先述した通り、エアバッグは樹脂製のホーンパッドやダッシュボードの奥に取り付けられており、それらを突き破って展開します。

 エアバッグを囲っている部品は樹脂製ですが、エアバッグの展開速度と同じ速度で飛散すると乗員にとって極めて危険です。そこで、けが防止のために、樹脂部品はもちろんですが、その他構成部品などもエアバッグの展開の衝撃で無意味に飛散しないように設計されています。

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