ウインドリバーは、組み込みシステム向けリアルタイムOS「Wind River VxWorks」の最新版「Wind River VxWorks 7」を発表した。「モノのインターネット(IoT)」時代の到来に向けて、システムを刷新。モジュール性の高いアーキテクチャで再構築したという。
ウインドリバーは、「モノのインターネット(IoT:Internet of Things)」時代の到来に向け、主力のリアルタイムOS「Wind River VxWorks」を刷新。モジュール性の高いアーキテクチャで再構築し、コンシューマ向けウェアラブルデバイスから大型のネットワーク機器まで幅広く対応できる、次世代のリアルタイムOSとして「Wind River VxWorks 7(以下、VxWorks 7)」を開発した。提供開始は2014年3月末の予定だという。
「1980年代以降、インターネットの普及、マルチコアといったトレンドとともにVxWorksは成長してきた。そして、今、“IoT”が組み込み業界を大きく変えようとしている。今回のVxWorks 7は、IoTに対応するRTOSとして、今後10年を見据えた製品となっている」(同社)。
IoT時代の到来により、今後、ネットワークに接続されて相互に連携し合うインテリジェントデバイスが急増していく。こうした中で、同社は、IoT時代のデバイスが満たすべき要件として、「Safety」「Security」「Scalability」の3つを掲げる。医療、産業、航空宇宙などのミッションクリティカルな分野では、それぞれの分野における安全規格などに柔軟に対応できる必要がある。また、ネットワーク接続が当たり前のIoTにおいて、セキュリティの重要性は増しており、リソースの限られた小さなデバイスに対しても最適な対策を施す必要がある。そして、全てのモノがつながるIoTにおいて、デバイスの機能などを必要に応じて柔軟に拡張できることが求められる。
さらに同社は、これらの要件に加えて、IoT時代のプラットフォームが持つべき特色として、「Connectivity」「Manageability」「Virtualization」の3つを掲げ、「これら6つを満たすものとして、今回、VxWorksを刷新。VxWorks 7を開発した」(同社)という。
VxWorks 7の大きな特徴は、ファイルシステムやネットワークスタックなどといった細かな機能を個別にパッケージ化し、システムのコアとなる「VxWorks 7 Core Platform OS」上で、システムの要件にあったパッケージを取捨選択してシステムを構築できる点にある。
各機能をパッケージ化することで、システムコアを変更することなく、パッケージ単位で機能を追加したり、アップデートしたりすることができる。また、利用可能なパッケージは同社が提供するものだけでなく、エコパートナーが自ら開発したアプリケーションをパッケージ化して利用できる。「システム全体の手直しや再テストの必要なしに、個々のアプリケーション単位で更新することが可能になる。時代の変化に合わせた柔軟な拡張が行える」(同社)という。なお、VxWorks 7向けのマーケットプレイスをオープンし、エコパートナーなどが開発したパッケージをダウンロードして組み込める仕組みを用意している。
さらに、VxWorks 7には標準のVxWorks Kernelとともに、小型デバイス向けの「VxWorks Micro Kernel」がオプションとして搭載されており、あらゆる規模のネットワーク対応デバイスにも適用できるという。
なお、2014年3月13日に開催される同社主催の技術セミナー「Wind River Technical Forum 2014」の中で、VxWorks 7のお披露目とともに、より詳しい製品の説明やデモなどが披露される。
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