最後発の「デイズ ルークス」と「eKスペース」は競合3車種に勝てるのか「N BOX」「タント」「スペーシア」と比較(1/3 ページ)

日産自動車の「デイズ ルークス」と三菱自動車の「eKスペース」が発売された。スーパーハイトワゴンタイプの軽自動車としては最後発となるが、競合車種であるホンダの「N BOX」、ダイハツ工業の「タント」、スズキの「スペーシア」との市場競争に勝てるのだろうか。

» 2014年02月21日 22時00分 公開
[朴尚洙,MONOist]
「デイズ ルークス」と「eKスペース」

 日産自動車と三菱自動車は2014年2月13日、両社で共同開発したスーパーハイトワゴンタイプの軽自動車を発売した。日産自動車は「DAYZ ROOX(デイズ ルークス)」、三菱自動車は「eKスペース」を販売する。月間販売目標台数は、デイズ ルークスが5000台、eKスペースが2500台、合計で7500台である。税込み価格は、デイズ ルークスで、一般グレードが124万50〜145万6350円、カスタムグレードの「ハイウェイスター」が145万7400〜171万2250円、ターボグレードの「ハイウェイスター ターボ」が173万4600〜185万2200円。eKスペースで、一般グレードが122万4300〜149万4150円、カスタムグレードの「カスタムG」が152万1450〜163万8000円、ターボグレードの「カスタムT」が165万9000〜177万5550円。

 今回共同開発した軽自動車は、両社が折半出資して2011年6月に設立した合弁企業NMKVが手掛けた。2013年6月に発売したハイトワゴンタイプの「デイズ」(日産自動車)と「eK」(三菱自動車)に続く第2弾となる。デイズ/eKと同様に、車両名称は異なるものの、パワートレイン構成やプラットフォームは同じである。このため外形寸法や車室内寸法、エンジン性能、燃費性能などは共通している。ただし、フロントフェイスのデザインや、安全/快適装備については異なる部分もある。

日産自動車の「デイズ ルークス」(左)とカスタムグレードの「ハイウェイスター」(クリックで拡大) 出典:日産自動車
三菱自動車の「eKスペース」(左)とカスタムグレードの「カスタムT」(クリックで拡大) 出典:三菱自動車

「バッテリーアシストシステム」搭載も燃費は26.0km/lにとどまる

 全高1700mm以上のスーパーハイトワゴンタイプの軽自動車は、国内の自動車市場で最も競争が激しいジャンルと言っていい。2013年(暦年)の軽自動車販売台数で1位になったホンダの「N BOX」を筆頭に、スズキが「パレット」に替えて2013年2月に発売した「スペーシア」、N BOXとスペーシアに対抗してフルモデルチェンジを2013年10月に前倒したダイハツ工業の「タント」が販売競争を繰り広げている。デイズ ルークスとeKスペースは、この争いの中に最後発として戦いを挑もうとしているのだ。

 まずは、デイズ ルークスとeKスペースの特徴から見ていこう。

 デイズ ルークスとeKスペースの外形寸法は、全長3395×全幅1475×全高1750mm。室内寸法は、室内長2235×室内幅1320×1400mm。ホイールベースは2430mmとなっている。

 車両重量は、最も安価なグレード(デイズ ルークスは「Sグレード」、eKスペースは「Eグレード」)で920kg、中核グレード(デイズ ルークスは「Xグレード」、eKスペースは「Gグレード」)で930kg、カスタムグレード(デイズ ルークスは「ハイウェイスターS」、「ハイウェイスターX」、「ハイウェイスターX Gパッケージ」、eKスペースはカスタムG)で930〜950kg、ターボモデル(デイズ ルークスはハイウェイスター ターボ、eKスペースはカスタムT)で950kg(全て2WDモデル)。4WDモデルの場合+50kgとなる。

 パワートレインは、デイズ/eKで採用した、直列3気筒エンジン「3B20」と副変速機付きエクストロニックCVT(無段変速機)から構成されている。自然吸気エンジンは、最高出力36kW(6500rpm)/最大トルク59Nm(5000rpm)、インタークーラーターボエンジンは最高出力47kW(6000rpm)/最大トルク98Nm(3000rpm)となっている。

 エンジンとトランスミッションはデイズ/eKと同じだが、燃費向上を図るため、新たに「バッテリーアシストシステム(デイズ ルークスの場合。eKスペースは「アシストバッテリー」と呼称)を採用した(関連記事:「DAYZ ROOX」と「eKスペース」は燃費26.0km/l、パナのニッケル水素電池を採用)。

 このシステムでは、ブレーキ回生によって発電した電力を、鉛バッテリーとは別に搭載しているニッケル水素電池に蓄電する。停車時などのアイドルストップシステムが動作している間に、カーナビやカーオーディオ、空調システムなどの電装品に充電した電力を供給すれば、オルタネータで発電するためにエンジンを動作させる回数が減るので燃費を向上できる。ニッケル水素電池はパナソニック製である。

「バッテリーアシストシステム」とアイドルストップシステムの動作イメージ 「バッテリーアシストシステム」とアイドルストップシステムの動作イメージ(クリックで拡大) 出典:日産自動車

 バッテリーアシストシステムの採用に合わせて、デイズ/eKでも標準装備になっているアイドルストップシステムの動作タイミングが変更された。デイズ/eKの時速13km以下に対して、デイズ ルークス/eKスペースは時速9km以下になっている。アイドルストップの動作タイミングは、早ければ早いほど燃費向上効果は大きくなるが、その一方で使い勝手も悪くなるという問題もある。デイズ ルークス/eKスペースでは、燃費性能と使い勝手のバランスを重視したということだろう。

 JC08モード燃費は26.0km/l(自然吸気エンジン搭載の2WDモデルの場合)で、自動車取得税と重量税が全額免税となるエコカー免税の対象車となっている。

 デイズ/eKは、発売時点でハイトワゴンタイプ軽自動車でトップのJC08モード燃費(29.2km/l)を目指していた。しかし、デイズ ルークス/eKスペースは、クラストップの燃費ではなくエコカー免税の対象車になることを目標としていたようだ。日産自動車の説明員も、「顧客は、燃費性能そのものよりも、エコカー免税であることを重視していることが分かってきた。デイズ ルークスでは、燃費性能以上のメリットを顧客に提示していきたい」としており、燃費性能については割り切った印象が強い。

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