ここまでは、HTML5に関連するコンポーネントについて記述したが、HTML5が関与しない以下のようなコンポーネントもあるので、概要だけ説明しよう。
まずは、「Murphy policy manager(以降、Murphy)」だ。組み込みシステムでは、リソース管理が重要になっており、ハードウェアとアプリケーションの結合強度を強くしてしまうと、全てのアプリケーションについてリソース管理処理を追加する必要が出てくる。そこで、リソース管理をミドルウェア化してアプリケーションとリソース管理を疎結合にするため作られたのがMurphyなのだ。
Tizen IVIでは、Murphyをオーディオ機能のリソース管理に利用している。図8は、モバイル機器と車載情報機器におけるオーディオ機能のリソース利用シチュエーションを比較したものだ。モバイル機器では、モバイル機器自身がハブになるのでソースリソースと出力デバイスの関係を管理しやすい。対して車載情報機器は、複数の入力リソースを1つの出力デバイスに接続したり、1つのソースが複数の出力デバイスから出力されたりするなど、複雑なリソース管理が要求される。アプリケーションがこの煩雑なリソース管理から解放されるための手段がMurphyであり、Murphyは「PulseAudio」のプラグインとして利用されている。
もう1つ、EFLサンプルアプリケーションとしてのlemoloがある。lemoloは、EFLで作成されたダイヤルアプリである(図9)。携帯電話機とBluetooth接続で連携する際には、Bluetoothデーモンの「Bluez」で、通話を行う際には通話デーモンの「oFono」でやりとりする。ピュアなEFLで実装されたフロントエンドアプリケーションなので、EFLの実装方法の参考になるだろう。
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