日立ハイテクサイエンスは、RoHS指令などによって使用を制限されている有害物質のスクリーニング検査にかかる時間を、従来比で10分の1に短縮可能な蛍光X線分析装置「EA1000VX」を開発した。
日立ハイテクサイエンス(旧社名SIIナノテクノロジー)は、EU(欧州連合)の有害物質規制(ELV/WEEE/RoHS指令)によって自動車や電子機器で使用を制限されている有害物質のスクリーニング検査にかかる時間を、従来比で10分の1に短縮可能な蛍光X線分析装置「EA1000VX」を開発したと発表した。2013年9月10日から国内外向けに販売を始める。価格は900万円。年間販売目標台数は100台。
EA1000VXは、車載システムや電子機器の構成部品に有害物質が含まれているか否かを確認するためのスクリーニング検査に用いる蛍光X線分析装置である。従来機種の「SEA1000AII」と比べて、測定時間を10分の1に短縮できることを最大の特徴としている(プラスチック、真ちゅうなどの平均検査時間で比較)。
また、新たに搭載した材料判定機能により、主成分に応じて設定する検査条件を装置が自動的に選択するので、測定者のミスを防止するとともに、検査のための操作も容易になる。さらに、凹凸のあるサンプルや微小なサンプルを検査する場合でも、簡単に位置決めできる機能や、扉の開閉のしやすさの向上などで操作性を改良し、現場の作業負荷を軽減。加えて、解析ツールとデータ集中管理機能の強化により、管理スタッフの作業効率も向上した。これらにより、スクリーニング検査の全体効率化、コスト削減に大きく貢献するという。
蛍光X線分析装置は、試料の溶解などの前処理を行わずに、RoHS指令の規制対象元素(カドミウム、鉛、水銀、臭素、クロム)の有無を検査できることもあって、2006年7月に施行されたRoHS指令に対応する必要があった電子機器メーカーに広く導入されている。RoHS指令の公布から10年が経過した現在、初期に導入された蛍光X線分析装置の更新時期を迎えている。日立ハイテクサイエンスは、新製品のEA1000VXの投入により、これらの更新需要を取り込みたい考え。
なお、日立ハイテクサイエンスは、「JASIS 2013」(2013年9月3〜5日、幕張メッセ)において、EA1000VXを紹介する予定だ。
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