東京アールアンドデーは、インテルと共同で開発した、クラウドサービスを使ってEVのバッテリーモジュールを遠隔地から一括制御する技術「バッテリー遠隔メンテナンスクラウド」や、車両情報のリアルタイムモニタリングシステム、路線バスなどで現在位置周辺の店舗情報をリアルタイムで表示する次世代デジタルサイネージを「ビークルICTソリューション」として展示した。
このビークルICTソリューションでは、インテル製のプロセッサを搭載したデータ処理用コンピュータを自動車に搭載して、CANからのデータやセンサーデータを高速処理してローカルストレージにロギングしたり、データの間引きや圧縮処理の後にリアルタイムで送信したり、デジタルサイネージのための表示処理を行ったりできる。今回の展示では、CANからのデータ処理とデジタルサイネージの表示処理を行うのに、「Core i7-2610UE」を搭載する車載コンピュータ「VTC7110」(ネクスコム製)と、CANデータの処理専用に特化した「Atom E640」を搭載する車載器「VTC1000」(同上)を使ってデモを行っていた。
バッテリー遠隔メンテナンスクラウドは、EVのバッテリーモジュールを構成するリチウムイオン電池セルの特性ばらつきによって、正確なSOC(State of Charge)が把握できなくなり、結果的にバッテリーモジュールの寿命を縮めてしまうという課題を解決しようとするものだ。
クラウドサービスは、データ処理用コンピュータを介して、バッテリーモジュールの充放電時における各電池セルの電圧を監視することで常に状態を把握しており、車両側に適切なメンテナンス指示を行って電池セルの充電状態を均等化する。これで、バッテリーモジュールの劣化を最小限に抑えられるとともに、メンテナンスの手間も減らせるという。
車両情報リアルタイムモニタリングシステムは、数m〜数十msという遅延時間でやりとりされるCANデータを高速処理し、最小限のタイムラグで数百項目ものリアルタイム情報の遠隔モニタリングを可能にする。取得したデータと位置情報の関連付けも行っており、、地図サービスと統合したユーザーインタフェース上にデータをマッピングするといった可視化も容易だ。運用中に車両で異常が発生した場合にメールで通知するアラート機能や、蓄積した大量のイベントデータの解析を支援するリポート機能も提供する。
車載向けデジタルサイネージは、電気自動車特別コーナーに展示された電気バス(EVバス)「ELEMO-AKITA」に搭載予定の技術だ。現在位置や走行中の路線を地図データに重ね合わせて表示したり、次のバス停までの時間、バス停周辺の商業施設や観光情報をリアルタイムで表示したりすることもできる。なお、ELEMO-AKITAには、先述したバッテリー遠隔メンテナンスクラウドおよび車両情報リアルタイムモニタリングシステムも併せて搭載される。
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