パナソニックは2012年9月11日、東京都内で、新型のHEMS「AiSEG」を発表した(図2)。AiSEGの特長はまさにこの「閉じた」中で実現できるよう設計したことにある。「当社のシステムでは宅内の電力使用履歴やグラフ化などはAiSEG単体で実行できる設計とした。そのため(クラウドなどの)定額利用料金が必要ない」「HEMSは新築住宅に導入する場合が多いと考えられるが、プロバイダー契約を考えると、インターネットが必須のシステムでは困る場合があるからだ」(パナソニック エコソリューションズ社まるごとソリューションズ本部システム企画グループ商品企画チームの岡村晶子氏)。
NECやNTT、東芝など自社のIT資産を生かそうと考える企業は、クラウドなどを活用した開いたシステムを構築しようとしている。多数の家庭の消費電力量というビッグデータをサーバ側で分析し、その結果を統計データに加工して各家庭に戻し、HEMSに接続したモニター画面に表示するというシステムだ。例えば「エコランキング」を通じた節電を促す、「電力お知らせメール」をスマートホンに送信するなどの取り組みである。
なお、AiSEGは今後も閉じたシステムのままでいるわけではない。パナソニックは、将来展開する無料のクラウド型サービスを通じて、ファームウェアを更新し、制御可能な家電製品の種類を増やすことを予定する。
エネルギー管理の理想形をいきなり実現するのは難しい。パナソニックは2011年2月に電気・ガス・水の消費量を見える化する「ECOマネシステム」を発表。2012年2月にはHEMSの一部の機能を太陽光発電システムや二次電池(蓄電池)と組み合わせた「住宅用創蓄連携システム」を発表している。今回のAiSEGはECOマネシステムの発展形となっており、住宅用創蓄連携システムとも連携できる。
ECOマネシステムは見える化のみに特化しており、住宅用創蓄連携システムは、系統電力のピーク抑制や停電対応*2)のための製品だ。
*2) 太陽光発電システムの出力を二次電池に蓄えたり、コンセントを差し替えずに、あらかじめ接続した家電に電力を供給したりできる。
AiSEGを住宅用創蓄連携システムと組み合わせれば、あらかじめ設定した消費電力を超えた場合でも家電の出力を落とさず、電池から電力を供給することが可能になる。
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